ネットワーク障害の切り分けは、自分に近い場所から順にコマンドを打ち、通信が止まる区間を1つに絞る作業です。基本の順番はping→tracert→arp→nslookup→show。「つながらない」「遅い」「名前が引けない」「特定のポートだけ」のどれに当たるかで、最初に打つコマンドが変わります。
この記事でわかること
- ping→tracert→arp→nslookup→showの順番と、それぞれで決めること
- 4つの症状ごとに次に打つコマンドと該当ページが決まる判定表
- ルーター・スイッチ側で見るshowコマンドの使い分け
- 切り分けの結果をそのまま送れる報告テンプレート
- 当サイトのコマンド解説30本を場面から引ける一覧
一次情報: RFC 792(ICMP)(参照)/RFC 826(ARP)(参照)/RFC 1035(DNS)(参照)/Cisco「Understand Ping and Traceroute Commands」(参照)/Cisco「Troubleshoot Switch Port and Interface Problems」(参照)/Microsoft Learn「tracert」(参照)※2026年11月5日確認
ネットワーク障害の切り分けとは?止まっている区間を1つに絞る作業
切り分けとは、「どこまでは通じて、どこから先が通じないか」を確かめ、原因のありかを1つの区間に絞ることです。原因そのものを直す前の段階にあたります。
いきなり設定を見直すと、関係のない機器まで疑うことになりがちです。先に区間を絞れば、見る機器と担当者が決まります。
| 疑う場所 | 起きやすいこと | 確かめるコマンド |
|---|---|---|
| 自分の端末 | IPアドレスが取れていない・NICが無効 | ipconfig、ping 127.0.0.1 |
| 同じネットワーク内 | ケーブル・スイッチのポート・VLANの違い | ping(ゲートウェイ宛)、arp -a |
| 途中の経路 | ルーターに経路が無い・ループ | tracert、show ip route |
| 名前解決 | DNSサーバーの不調・キャッシュの古い情報 | nslookup、dig |
| 相手のサービス | ポートが待ち受けていない・ACLで遮断 | Test-NetConnection、netstat |
| 機器そのもの | ポートのダウン・エラーの多発 | show interface |
表の上ほど、自分の手元で今すぐ確かめられる場所です。切り分けは、上から順に「ここは問題ない」と消していく作業と考えると迷いません。
基本の順番と、各コマンドで決めること
切り分けで打つコマンドは、ping→tracert→arp→nslookup→showの順が基本です。前のコマンドの結果で、次に何を打つかが決まります。
- ping。相手までIPで届いて戻れるかを見る。近い順に打ち、返らなくなる地点を探す
- tracert。pingが途中で止まるとき、どのルーターまで届いているかを1台ずつ表示する
- arp。ゲートウェイにすら届かないとき、相手のMACアドレスが引けているかを見る
- nslookup。IPなら通るのに名前で通らないとき、DNSの答えを直接確かめる
- show。区間が絞れたら、その区間のルーター・スイッチでポートと経路と設定を見る
| 順 | コマンド | 決めること | 次へ進む条件 | 詳しいページ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ping | どこまで届くか | 途中で返らなくなった | pingの使い方 |
| 2 | tracert | どのルーターで止まるか | 自分の出口で止まる | tracertの使い方 |
| 3 | arp | 隣の機器のMACが引けるか | IPで通るのに名前で通らない | arpの使い方 |
| 4 | nslookup | DNSが正しい答えを返すか | 区間が機器の中に絞れた | nslookupの使い方 |
| 5 | show | ポート・経路・設定のどれか | 原因の候補が1つになった | show interfaceの見方 |
pingを最初に打つのは、届くか届かないかの二択で、残りの区間を半分に減らせるからです。pingはICMPのエコー要求(タイプ8)を送り、エコー応答(タイプ0)が返るかを見ます。仕様はRFC 792で決まっています。
切り分けの基本の順番
- 障害の連絡を受けたら、自分に近い場所から順に確かめます。
- 1ping近い順に打ち、返らなくなる地点を探す
- 2tracert途中で止まるなら、どのルーターまで届くかを見る
- 3arpゲートウェイにも届かないなら、MACが引けているかを見る
- 4nslookupIPで通り名前で通らないなら、DNSの答えを見る
- 5show絞れた区間の機器で、ポート・経路・設定を見る
前のコマンドの結果で、次に打つコマンドが決まる。
図:ping→tracert→arp→nslookup→showの順に、止まる区間を絞る
pingは「近い順」に5か所へ打つ
pingは、宛先をいきなり遠くに向けないのがコツです。次の順に打つと、返らなくなった地点がそのまま疑う区間になります。
| 順 | 宛先 | 失敗したら疑う場所 |
|---|---|---|
| 1 | 127.0.0.1 | 端末のTCP/IPそのもの |
| 2 | 自分のIPアドレス | NICの設定・無効化 |
| 3 | デフォルトゲートウェイ | ケーブル・スイッチのポート・VLAN |
| 4 | 社外やDNSサーバーのIPアドレス | ルーター・回線・ファイアウォール |
| 5 | ホスト名 | DNS(IPでは通る場合) |
自分のIPアドレスとゲートウェイの値は、ipconfigの使い方で確かめた値を使います。ゲートウェイが自分と同じネットワークに入っているかは、サブネットマスクの計算方法で範囲を出すと確実です。
pingが返らない=相手が止まっている、とは限らない
ファイアウォールでICMPを止めているサーバーは珍しくありません。pingが返らないことだけで「停止」と判断しないのが、切り分けの最初の約束事です。
止まっているかどうかは、相手のサービスのポートに接続できるかで確かめてください。メッセージ別の原因は、pingの使い方の表にまとめています。
症状別の判定表|次に打つコマンドがすぐ決まる
ここからは、障害の連絡でよく聞く4つの症状ごとに、最初に打つコマンドと分かれ道をまとめます。最初に「どの症状か」を決めると、打つコマンドが半分以下に減ります。
| 症状 | 最初に打つ | 結果 | 次に打つ |
|---|---|---|---|
| まったくつながらない | ping(近い順) | ゲートウェイで失敗 | arp -a・ipconfig・show interface |
| まったくつながらない | ping(近い順) | 社外で失敗 | tracert・show ip route |
| 遅い・ときどき切れる | ping(回数を増やす) | 損失や最大値の跳ね | tracert・show interface・iperf |
| 遅い・ときどき切れる | ping(DFあり) | 大きいサイズだけ失敗 | MTUの確認 |
| 名前が引けない | ping(IPと名前) | IPは通る・名前は失敗 | nslookup・dig・キャッシュのクリア |
| 特定のポートだけ | ping | 通るのにサービスが使えない | Test-NetConnection・netstat・ACL |
症状で入口を決める
- ネットワーク障害の連絡
- まったくつながらない近い順にping → 止まった地点でarp・tracert・show
- 遅い・ときどき切れる回数を増やしたping → 損失の区間をtracert、ポートのエラーをshow interface
- 名前が引けないIPと名前の両方でping → nslookupでDNSの答えを確認
- 特定のポートだけpingは通る → Test-NetConnectionで接続、netstatで待ち受け
図:4つの症状で、最初に打つコマンドが分かれる
まったくつながらないとき
近い順のpingで、どこから返らなくなるかを最初に決めます。分かれ道は「ゲートウェイに届くか」です。
ゲートウェイに届かないなら、問題は同じネットワークの中にあります。arp -aでゲートウェイのIPにMACアドレスが対応しているかを見てください。ARPは、IPアドレスからMACアドレスを引く仕組みです(RFC 826)。
| arpの結果 | 考えられること | 次に確かめる |
|---|---|---|
| ゲートウェイの行が無い | 隣まで届いていない | ケーブル・ポートの状態・VLAN |
| 行はあるがMACが普段と違う | 同じIPを別の機器が使っている | 相手機器のMACアドレス |
| 行があり、MACも正しい | 端末かゲートウェイのフィルタ | 端末のファイアウォール・ACL |
MACアドレスの照合は、MACアドレスを確認するコマンドで相手側の値を出して比べます。スイッチ側ではshow interfaceでポートが落ちていないかを、VLANの設定で所属VLANを確かめます。
ゲートウェイには届くのに社外で止まるなら、経路の問題です。tracertで最後に応答したルーターを特定し、そのルーターでshow ip routeを打って宛先への経路があるかを見ます。端末側の経路表はroute printで確かめられます。
遅い・ときどき切れるとき
速度の問題は、1回のpingでは見えません。回数を増やして、損失率と往復時間の最大値を見ます。
ping -n 100 192.0.2.10 (Windows)
ping -c 100 192.0.2.10 (Linux)
損失が出たら、tracertでどの区間から遅れや「*」が出始めるかを見ます。ただし、途中の1台だけが遅く見えても、その先が普通なら問題ではありません。ルーターは、時間超過などのICMPエラーを送る頻度を絞れるように作られているからです(RFC 1812)。
| 疑うこと | 確かめるコマンド | 詳しいページ |
|---|---|---|
| ポートのエラー・デュプレックスの不一致 | show interface | show interfaceの見方 |
| 帯域そのものが出ていない | iperf3 | iperfの使い方 |
| 大きいパケットだけ通らない | ping(DFあり) | MTUの確認方法 |
| パケットが届いているか自体 | tcpdump | tcpdumpの使い方 |
シスコの資料では、CRCエラーやlate collisionの増加を、配線の不良やデュプレックスの不一致を疑う手がかりとして挙げています。「Webの一部だけ開かない」「ファイル転送だけ止まる」なら、MTUを先に疑いましょう。経路MTUの仕組みはRFC 1191で決まっています。
名前が引けないとき
まず、同じ相手にIPアドレスとホスト名の両方でpingを打ちます。IPで通り、名前で失敗するなら、経路でなく名前解決の問題です。
次にnslookupで、DNSサーバーが正しいIPを返すかを直接確かめます。問い合わせ先のDNSサーバーを変えて同じ名前を引いてみてください。答えが変われば、問題はDNSサーバー側にあります。Linuxではdigで、応答のstatusまで見られます。
nslookupでは正しい答えが返るのに、ブラウザで開けないこともあるでしょう。Windowsの名前解決は、キャッシュ→hostsファイル→DNSサーバーの順に確かめます。一方のnslookupは、設定されたDNSサーバーへ直接問い合わせます(Microsoft Learn)。キャッシュやhostsに古い情報が残っていると、両者の結果が食い違うわけです。この場合に試すのがDNSキャッシュのクリアです。
IPv6のアドレスが返ってきて読みにくいときは、IPv6アドレスの省略ルールで元の形に戻して照合します。
特定のポート・サービスだけ使えないとき
pingは通るのに、Webやリモート接続だけが使えない状態です。pingはICMPなので、TCPのポートが通るかは別に確かめる必要があります。
Test-NetConnection 192.0.2.10 -Port 443 (Windows PowerShell)
curl -v https://www.example.com/ (Windows・Linux)
| 順 | 確かめること | コマンド・ページ |
|---|---|---|
| 1 | 相手がそのポートで待ち受けているか | netstatの使い方 |
| 2 | 手元からそのポートへ接続できるか | telnetの使い方・curlの使い方 |
| 3 | 途中の機器で止めていないか | アクセスリストの設定 |
| 4 | 外のネットワークから開いているか | ポート開放の確認方法 |
サーバー側でnetstatを打ち、そのポートがLISTENINGになっていなければ、ネットワークでなくサービスの問題です。待ち受けているのに手元から接続できないなら、途中のACLやファイアウォールを疑います。
ポート番号が何のサービスか迷ったらポート番号一覧で確かめます。よく問い合わせが来るのは、Webの443番ポートと、機器やサーバーへのログインに使う22番ポートです。ログインできるかはsshコマンドで試します。
ルーター・スイッチ側で見るshowコマンド
区間が機器の中まで絞れたら、Cisco IOSの機器ではshowコマンドで状態を読みます。見る順番は、ポート→経路→設定。物理的に落ちているポートを見落としたまま設定を読んでも、原因に届かないからです。
| 疑うこと | 打つコマンド | 見る場所 | 詳しいページ |
|---|---|---|---|
| ポートが落ちている | show interfaces | 1行目の up/down | show interfaceの見方 |
| エラーが増えている | show interfaces | CRC・input errors | show interfaceの見方 |
| 宛先への経路が無い | show ip route 宛先 | 経路の有無とコード | show ip routeの見方 |
| 静的経路の書き間違い | show running-config | ip route の行 | スタティックルートの設定方法 |
| OSPFの隣接が切れた | show ip ospf neighbor | 状態がFULLか | OSPFの設定方法 |
| ACLで止めている | show access-lists | 一致した回数 | アクセスリストの設定 |
| VLANの割り当て違い | show vlan brief | ポートの所属 | VLANの設定方法 |
| 設定そのもの | show running-config | section・includeで絞る | show running-configの見方 |
show interfacesの1行目は、前半がハードウェアが動いているかと管理者が止めたかを示します。後半の「line protocol is」は、ソフトウェアから見て回線が使える状態かの表示です(Cisco IOSコマンドリファレンス)。
「administratively down」なら、管理者が止めた状態です。「down, line protocol is down」の例について、シスコの資料はケーブルの未接続や不良、相手側の未接続を原因に挙げています。設定を読む前に、この1行で物理か設定かの見当がつきます。
OSPFは、隣のルーターと情報の同期を終えるとFULLの状態になります(RFC 2328)。ACLは行ごとに一致したパケットの数を数えていて、show access-listsで確かめられます(シスコのACL設定ガイド)。
経路の表記で「/24」などの意味に迷ったらCIDR表記の読み方を見てください。宛先がどの経路に一致するかは、一番細かく一致する経路で決まります。
切り分けの報告テンプレート
切り分けは、報告して初めて次の人が動けます。報告では「確かめた事実」と「推測」を分けて書くのが基本です。未確認の部分も、未確認と書いておけば次の担当者が同じ確認を繰り返さずに済むはずです。
運用保守の現場では、報告が少し遅れることより、確かめていないことを断定してしまうほうが後で困ります。下のテンプレートは、そのまま貼って埋められる形にしています。
【件名】〇〇拠点 ××サーバーへの通信障害(切り分け途中経過)
1. 発生日時:YYYY/MM/DD HH:MM ごろ(第一報の受付時刻)
2. 影響範囲:〇〇拠点の端末(台数・部署)/影響しているサービス
3. 症状:つながらない/遅い/名前が引けない/特定のポートだけ
4. 確認したこと(コマンド・宛先・結果)
・ping 自端末→ゲートウェイ(192.0.2.1):結果
・ping 自端末→××サーバー(198.51.100.20):結果
・tracert ××サーバー:何ホップ目の機器まで応答あり
・nslookup ××サーバー名:返ったIPアドレス
5. 切り分けの結論:〇〇〜〇〇の区間に絞り込み(事実)
6. 推測:〇〇の可能性(根拠:〇〇)
7. 未確認:〇〇機器のログ・設定
8. 暫定対応:実施した内容(実施時刻)/なし
9. 次のアクション:担当・期限
報告で外さないこと
- 時刻を書く。発生・確認・対応の時刻があると、ログと突き合わせられる
- 宛先のIPアドレスを書く。「サーバーにpingした」だけでは、どこまで届いたかが伝わらない
- 事実・推測・未確認を分ける。推測には根拠を1行添える
- 変更したことは全部書く。切り分け中にケーブルを差し替えたら、それも記録する
テンプレートの宛先は、説明用のアドレス(RFC 5737で文書用に予約された範囲)にしています。実際の報告では、社内の表記ルールに合わせてください。
切り分けで判断を誤りやすい場面
コマンドの結果は正しくても、読み方で判断を誤ることがあります。よくある場面を先に知っておくと、遠回りを防げます。
| 誤りやすい読み方 | 実際に起きていること | 正しい確かめ方 |
|---|---|---|
| pingが返らない=相手が止まっている | ICMPだけ遮断している | サービスのポートへ接続する |
| tracertの途中に「*」=そこで障害 | その機器が応答を返さない設定 | その先のホップが応答しているかを見る |
| nslookupで引ける=名前解決は正常 | 端末のキャッシュやhostsが古い | キャッシュを消して再確認する |
| 自分の端末だけ見て「ネットワークは正常」 | 別のVLANや拠点だけ止まっている | 影響範囲の端末から同じ確認をする |
tracertの「*」は、そのルーターから時間内に応答が無かった印です。Windowsのtracertは、既定で最大30ホップまで調べます(Microsoft Learn「tracert」)。最後まで「*」が続く場合と、途中の1行だけの場合では、意味がまったく違います。
当サイトのコマンド解説30本|場面から引ける一覧
ここまでの判定で「次に打つ」と決まったコマンドは、それぞれ1本ずつ詳しく解説しています。場面ごとに並べた一覧です。
| コマンド・テーマ | 使う場面 |
|---|---|
| ipconfig | IPアドレス・ゲートウェイ・DNSの設定を見る |
| MACアドレスの確認 | arpの結果と機器の実物を照合する |
| route print | 端末の経路表を見る |
| netstat | ポートの待ち受けと接続の状態を見る |
| DNSキャッシュのクリア | 古い名前解決の結果を消す |
| コマンド・テーマ | 使う場面 |
|---|---|
| ping | 相手まで届くかと往復時間を見る |
| tracert | 途中のどのルーターまで届くかを見る |
| arp | 隣の機器のMACアドレスが引けるかを見る |
| MTUの確認 | 大きいパケットだけ通らない症状を調べる |
| iperf | 区間の帯域を測る |
| tcpdump | パケットが実際に届いているかを見る |
| コマンド・テーマ | 使う場面 |
|---|---|
| nslookup | DNSサーバーの答えを直接見る(Windows) |
| dig | DNSの応答とstatusを見る(Linux) |
| telnet | 特定のポートへ接続できるかを見る |
| curl | Webの応答をヘッダーごと見る |
| ssh | 機器やサーバーへのログインを試す |
| ポート開放の確認 | 外のネットワークから開いているかを見る |
| コマンド・テーマ | 使う場面 |
|---|---|
| show interface | ポートの状態とエラーを見る |
| show ip route | 機器の経路表を見る |
| show running-config | 今の設定を絞り込んで読む |
| VLANの設定 | ポートの所属VLANを確かめる・直す |
| OSPFの設定 | ネイバーの状態を確かめる・直す |
| アクセスリストの設定 | 遮断している行を探す・直す |
| スタティックルートの設定 | 足りない経路を足す |
| コマンド・テーマ | 使う場面 |
|---|---|
| サブネットマスクの計算 | 同じネットワークかを判定する |
| CIDR表記 | 「/24」などの範囲を読む |
| IPv6の省略ルール | 省略されたIPv6アドレスを戻して照合する |
よくある質問
障害の切り分けは、OSI参照モデルの下の層から順に見るべきですか?
下の層から見る考え方は有効ですが、毎回すべての層を順に見る必要はありません。最初に近い順のpingを打てば、どの層を疑うべきかが早く決まります。ゲートウェイに届かないなら物理層とデータリンク層、届くなら経路やDNSから見ていく、という使い分けが実務的です。
pingは通るのに、Webサイトだけ開けないのはなぜですか?
pingはICMPで届くかを見るだけで、Webが使うTCPの443番が通るかは見ていません。Test-NetConnectionやcurlで443番に接続できるかを確かめ、サーバー側ではnetstatで待ち受けているかを見ます。名前で開いているなら、nslookupで返るIPアドレスも合わせて確かめてください。
Ciscoのコマンドは、切り分けでどれから覚えればいいですか?
最初はshow interfaces・show ip route・show running-configの3つで足ります。ポートが生きているか、経路があるか、設定がどうなっているかを、この順に読めるようにしておくと、多くの障害で区間を絞れます。OSPFやACL、VLANのshowは、使っている構成に合わせて足していけば十分です。
切り分けの途中で、設定を変えて試してもいいですか?
本番の機器では、所属先の手順と承認に従ってください。変えた場合は、変更前の設定と時刻を記録に残してください。記録が無いと、後から「どの変更で直ったのか」「別の不具合を生んでいないか」を確かめられなくなります。
tracertとtracerouteは同じものですか?
経路を1台ずつ表示する目的は同じですが、送るパケットが違います。Windowsのtracertは既定でICMPを送り、Linuxのtracerouteは既定でUDPを送ります。途中でUDPだけ止める機器があると結果が変わるので、比べるときはどちらで調べたかを報告に書いておくと安心です。
切り分けの経験をキャリアにつなげる
ここまでの手順は、監視・運用保守の現場で毎日のように使う作業そのものです。障害の第一報から区間を絞り、報告まで一人で回せることは、構築や設計の側へ進むときにも評価されやすい経験になります。
監視オペレーターから構築側へ進む道筋は、監視オペレーターからインフラエンジニアへのキャリアパスで段階ごとにまとめています。
まとめ
- 切り分けは、止まっている区間を1つに絞る作業。原因を直す前の段階にあたる
- 基本の順番はping→tracert→arp→nslookup→show。前の結果で次のコマンドが決まる
- pingは127.0.0.1・自分・ゲートウェイ・社外・名前の順に打つ
- 症状が「つながらない・遅い・名前・ポート」のどれかで、最初の一手が変わる
- 報告は、時刻と宛先IPを入れ、事実・推測・未確認を分けて書く
コマンドを打てることに加えて、結果から次の一手を決め、報告まで回せるようになると、任される範囲が広がっていきます。これからネットワークエンジニアを目指す方は、学習と転職の順番も先に決めておくと遠回りが減ります。
CCNAの取得から内定まで、未経験からネットワークエンジニアへ進む道のりを段階ごとに整理した記事です。
免責事項
※本記事はRFC、シスコシステムズ・Microsoftの公式ドキュメントなどの公開情報をもとに整理したものです。コマンドの表示や既定値は、OSのバージョンや機器の設定によって変わる場合があります。業務で使う機器では、所属先の手順とベンダーの最新資料をあわせてご確認ください。

