VLANの設定は、VLANを作る、端末のポートをアクセスポートにする、スイッチ同士をトランクでつなぐ、の3段階です。Cisco IOSならvlan 10、switchport access vlan 10、switchport mode trunkの順に打ち、show vlan briefとshow interfaces trunkで確かめます。
この記事でわかること
- VLANの設定を3段階に分けた手順と、Cisco IOSのコマンド
- 使えるVLAN IDの範囲と、予約されている番号
- トランクのallowed vlanでaddを忘れると通信が止まる理由
- 違うVLAN同士をつなぐSVIとip routingの設定
- 設定を確かめるコマンドと、つながらないときの見どころ
一次情報: Cisco「VLAN Configuration Guide, Cisco IOS XE 17.6.x(Catalyst 9600)」の Configuring VLANs/Configuring VLAN Trunks の章/Juniper Networks「Bridging and VLANs」(参照)/ヤマハ「VLANとは」(参照)※2026年10月時点
VLANの設定は、ネットワークの資格でも実務でも最初に覚える作業です。どの資格をどの順で取ると現場で評価されるかは、別の記事にまとめました。
VLANの設定とは?3段階で考える
VLANの設定とは、1台のスイッチの中を、番号ごとに別々のネットワークへ分ける作業です。同じスイッチにつながっていても、VLANが違う端末同士はそのままでは通信できません。
設定は、次の3段階に分けると迷いません。
- VLANを作る:番号と名前を決めて、スイッチに登録する
- 端末のポートを割り当てる:PCやプリンターがつながるポートを、1つのVLANに入れる
- スイッチ同士をつなぐ:複数のVLANをまとめて運ぶ線を設定する
呼び方はメーカーで違う
| 役割 | 一般的な呼び方 | Cisco | ほかのメーカーでよく見る呼び方 |
|---|---|---|---|
| 1つのVLANだけを通す | ポートVLAN | アクセスポート | タグなし(untagged) |
| 複数のVLANをまとめて通す | タグVLAN | トランクポート | タグ付き(tagged) |
トランクでは、フレームに「どのVLANか」を示す4バイトの札(IEEE 802.1Qのタグ)を付けて送ります。受け取った側が札の番号を見て、VLANを振り分けるしくみです。
手順1:VLANを作る
最初に、使うVLANの番号を作ります。名前は付けなくても動きますが、後で読む人のために付けておくのが現場の習慣です。
Switch# configure terminal
Switch(config)# vlan 10
Switch(config-vlan)# name SALES
Switch(config-vlan)# exit
Switch(config)# vlan 20
Switch(config-vlan)# name OFFICE
Switch(config-vlan)# end
Ciscoの資料では、名前を付けないと「VLAN0010」のように、番号の前に0を足した名前が自動で入ります。
| VLAN ID | 扱い |
|---|---|
| 1 | 最初からあるVLAN。消せない。全ポートが最初はここに入っている |
| 2〜1001 | 自由に使える範囲 |
| 1002〜1005 | Token RingとFDDI用に予約済み。使えない |
| 1006〜4094 | 拡張範囲。新しい機種では普通に使える |
番号は1〜4094の中から選びます。VLAN 1は全ポートの初期値なので、業務用のVLANには使わない設計が一般的です。
手順2:端末のポートをアクセスポートにする
PCやプリンターがつながるポートは、アクセスポートにしてVLANを1つ割り当てます。
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/1
Switch(config-if)# switchport mode access
Switch(config-if)# switchport access vlan 10
Switch(config-if)# exit
Switch(config)# interface range GigabitEthernet1/0/2 - 8
Switch(config-if-range)# switchport mode access
Switch(config-if-range)# switchport access vlan 10
まとめて設定したいときに使うのが、interface rangeでの範囲指定です。
作っていない番号をswitchport access vlanで指定すると、「Access VLAN does not exist. Creating vlan 30」と表示されます。番号はそのまま自動で作られますが、名前は空のままです。打ち間違いの番号が残らないよう、手順1で作っておくほうが安全です。
switchport mode accessを省かない
modeを書かずにVLANだけ指定しても、機種によっては相手との交渉(DTP)でトランクになることがあります。端末用のポートは「switchport mode access」で固定しておくと、思わぬトランク化を防げます。
手順3:スイッチ同士をトランクでつなぐ
スイッチ同士やルーターへの線は、複数のVLANを運ぶトランクの出番です。
Switch(config)# interface GigabitEthernet1/0/48
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport trunk allowed vlan 10,20
Switch(config-if)# switchport nonegotiate
allowed vlanは、そのトランクに通すVLANを絞る設定です。何も書かなければ全VLANが通ります。switchport nonegotiateは、相手との交渉(DTP)の信号を止める設定で、modeを固定したポート向け。
古い機種では、switchport mode trunkの前に「switchport trunk encapsulation dot1q」が要ることがあります。モードを設定できないというエラーが出たら、先にこの行を入れてください。
allowed vlanは「add」を付けないと置き換わる
トランクの設定で一番多い事故がこれです。allowed vlanに番号だけを書くと、それまでの一覧が丸ごと置き換わります。
| 打ったコマンド | 結果 |
|---|---|
| switchport trunk allowed vlan 30 | 通るのはVLAN 30だけになる。10と20が止まる |
| switchport trunk allowed vlan add 30 | 10・20に30が加わる(正しい) |
| switchport trunk allowed vlan remove 20 | 20だけを外す |
Ciscoの資料でも、addとremoveは一覧を増減させ、付けなければ一覧全体を置き換えると説明されています。本番の機器では、打つ前にshow interfaces trunkで今の一覧を控えておくと安心です。
ネイティブVLANを両端でそろえる
トランクには、札を付けずに送るVLANが1つあります。これがネイティブVLANで、初期値はVLAN 1です。
両端でネイティブVLANの番号が違うと、札の無いフレームが別のVLANへ流れてしまいます。CiscoのスイッチではCDPが「NATIVE_VLAN_MISMATCH」というログを出すので、見かけたら両端のswitchport trunk native vlanをそろえてください。
VLAN同士をつなぐ(SVIとip routing)
VLANが違う端末同士の通信は、ルーターの役割をする機器を通します。L3スイッチなら、VLANごとの仮想のインターフェース(SVI)にIPアドレスを付ける形です。
Switch(config)# ip routing
Switch(config)# interface vlan 10
Switch(config-if)# ip address 192.168.10.1 255.255.255.0
Switch(config-if)# no shutdown
Switch(config-if)# exit
Switch(config)# interface vlan 20
Switch(config-if)# ip address 192.168.20.1 255.255.255.0
Switch(config-if)# no shutdown
各VLANのPCは、自分のVLANのSVIのアドレス(192.168.10.1など)をデフォルトゲートウェイに設定します。ip routingを入れ忘れると、SVIにアドレスが付いていてもVLAN同士はつながりません。
| 方法 | 使う機器 | 設定の中心 |
|---|---|---|
| SVI | L3スイッチ | interface vlan 10 と ip routing |
| ルーターのサブインターフェース | ルーター+L2スイッチ | interface Gi0/0.10 と encapsulation dot1Q 10 |
ルーター側の方法は、1本のトランクにVLANを乗せてルーターへ渡す形です。小さな拠点で、L3スイッチを置かない構成でよく使われます。
設定を確かめるコマンドと、つながらないときの見どころ
設定したら、表示で確かめるところまでが作業です。VLANの問題は、ほとんどが次のコマンドで見つかります。
| コマンド | 見るところ |
|---|---|
| show vlan brief | VLANの一覧と、各VLANに入っているアクセスポート |
| show interfaces trunk | トランクのポート、ネイティブVLAN、通しているVLANの一覧 |
| show interfaces Gi1/0/1 switchport | そのポートのモード(access/trunk)と割り当てVLAN |
| show ip interface brief | SVI(Vlan10など)がup/upになっているか |
show vlan briefにはトランクのポートは出ません。トランクを見たいときはshow interfaces trunkを使い分けます。
同じVLANの端末同士がつながらないとき
- スイッチをまたぐと届かない
- VLANが片方のスイッチに無いshow vlan brief で両方に同じ番号があるか
- トランクで通していないshow interfaces trunk の allowed と forwarding の一覧に番号があるか
- ポートがアクセスのままスイッチ間の線のモードを switchport で確かめる
- ネイティブVLANが不一致両端の native vlan と、CDPのログを見る
図:VLANの有無、トランクの一覧、モード、ネイティブVLANの順に見る
SVIがup/upにならないときは、そのVLANに属する有効なポートが1つも無いことが多いです。端末をつないだポートか、そのVLANを通すトランクが動いているかを見てください。
確かめ終わったら、copy running-config startup-configで保存しておきましょう。保存しないと、再起動で設定が消えます。
よくある質問
VLANの設定で最低限必要なコマンドは何ですか?
Cisco IOSなら、vlan 10でVLANを作り、端末のポートにswitchport mode accessとswitchport access vlan 10を入れるのが最小の組み合わせです。スイッチをまたぐなら、間の線にswitchport mode trunkも入れます。
トランクにVLANを追加したら、ほかのVLANが止まりました
allowed vlanにaddを付けずに番号を書いた可能性が高いです。一覧が置き換わり、前からあったVLANが外れています。show interfaces trunkで一覧を確かめ、switchport trunk allowed vlan add で元の番号を戻してください。
show vlan briefにトランクのポートが出てこないのはなぜですか?
show vlan briefは、アクセスポートだけを一覧にする表示だからです。トランクのポートと、そこを通るVLANはshow interfaces trunkで確かめます。
VLAN 1を使ってはいけないのですか?
使えないわけではありません。ただ、全ポートの初期値で、トランクのネイティブVLANの初期値でもあります。業務用は別の番号に分け、VLAN 1には端末を入れない設計がよく採られます。
違うVLANのPCにpingが通りません
VLAN同士の通信には、L3スイッチのSVIかルーターが必要です。L3スイッチならip routingが入っているか、PCのデフォルトゲートウェイがSVIのアドレスになっているかを確かめます。
まとめ
- VLANの設定は、作る・アクセスポートに割り当てる・トランクでつなぐ、の3段階
- 番号は1〜4094。1002〜1005は予約済み、VLAN 1は業務用に使わない設計が一般的
- トランクのallowed vlanは、addを付けないと一覧が置き換わる
- VLAN同士の通信は、SVIとip routing、またはルーターのサブインターフェースで通す
- 確かめるのはshow vlan brief・show interfaces trunk・switchport・SVIの状態
VLANを分けたら、次はVLAN同士の通信をどこまで許すかを決める段階です。アクセスリストでVLANの間に通る通信を絞ると、ネットワークの守りが一段上がります。
VLANやトランクを自分で組めるようになると、運用から構築の仕事へ応募できる幅が広がります。経験の段階ごとに合う転職エージェントを比べた記事です。
免責事項
※本記事はCiscoの公式ドキュメントなどの公開情報をもとに整理したものです。コマンドの書き方や表示は、機種やソフトウェアのバージョンによって変わる場合があります。業務で使う機器では、所属先の手順と各製品の最新資料をあわせてご確認ください。

