show ip routeは、Cisco IOSの機器が今使っているルーティングテーブルを表示するコマンドです。行頭のコードが経路の出どころ、[110/2]のような角かっこが「アドミニストレーティブディスタンス/メトリック」。宛先は一番細かく一致する経路で決まります。
この記事でわかること
- 出力の1行をコード・宛先・[AD/メトリック]・via・経過時間・出口に分けて読む方法
- C・L・S・O・D・B・O IA・O E2 などよく出るコードの意味
- Gateway of last resortとis variably subnettedの行の読み方
- ADとメトリックと「一番細かい一致」の3つの決まりの順番
- 宛先・プロトコルで絞り込む書き方と、経路が出ないときの切り分け
一次情報: Cisco「What Is Administrative Distance?」(参照)/Cisco IOS IP Routing: Protocol-Independent Command Reference(参照)※2026年10月時点
show ip routeの読み方は、CCNAの学習でも中心になる内容です。試験範囲や勉強時間の目安は、別の記事にまとめました。
show ip routeとは?Cisco機器の経路表を見るコマンド
show ip routeとは、Cisco IOSのルーターやL3スイッチが持つIPv4のルーティングテーブルを表示するコマンドです。特権EXECモード(プロンプトが「#」)でも、ユーザーEXECモード(「>」)でも打てます。
ルーティングテーブルには、機器が「この宛先へは、この隣へ、このインターフェースから送る」と決めた経路だけが並びます。設定したのに表に出ていない経路は、実際の転送には使われていません。障害対応で最初に打つコマンドの1つです。
Router# show ip route
出力は大きく3つに分かれます。先頭のコードの凡例、Gateway of last resortの行、そして経路の一覧です。
出力例で見る|1行を6つに分けて読む
下はCisco IOSの出力の例です。アドレスは説明用の値で、凡例の一部は省略しました。
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
* - candidate default, U - per-user static route
Gateway of last resort is 192.0.2.1 to network 0.0.0.0
S* 0.0.0.0/0 [1/0] via 192.0.2.1
10.0.0.0/8 is variably subnetted, 4 subnets, 3 masks
C 10.1.1.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/1
L 10.1.1.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/1
O 10.2.0.0/16 [110/2] via 10.1.1.2, 00:12:34, GigabitEthernet0/1
O IA 10.3.0.0/16 [110/3] via 10.1.1.2, 1d02h, GigabitEthernet0/1
192.0.2.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C 192.0.2.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/0
L 192.0.2.2/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0
OSPFの行「O 10.2.0.0/16 [110/2] via 10.1.1.2, 00:12:34, GigabitEthernet0/1」を、左から分解します。
| 部分 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| コード | O | 経路をどこから知ったか(OSPF) |
| 宛先 | 10.2.0.0/16 | この範囲あての通信に使う |
| [AD/メトリック] | [110/2] | 信頼度110、OSPFでのコスト2 |
| via | 10.1.1.2 | 次に渡す隣の機器(ネクストホップ) |
| 経過時間 | 00:12:34 | この経路を覚えてからの時間 |
| 出口 | GigabitEthernet0/1 | 送り出すインターフェース |
経過時間は「時:分:秒」、1日を超えると「1d02h」のように日と時間の表示に変わります。値が何度も0に戻るなら、経路が出たり消えたりしている合図です。
Gateway of last resortの行
「Gateway of last resort is 192.0.2.1 to network 0.0.0.0」は、どの経路にも当てはまらない通信を送る先(デフォルトルート)が決まっているという意味です。WindowsのPCでいうデフォルトゲートウェイに当たります。
「Gateway of last resort is not set」と出たら、デフォルトルートがありません。表に無い宛先あての通信は、すべて捨てられます。インターネットに出られないルーターを見たら、まずこの1行を確かめてください。
is variably subnettedの行
コードの無い「10.0.0.0/8 is variably subnetted, 4 subnets, 3 masks」は、経路そのものではなく見出しの行です。10.0.0.0/8の中に、マスクの違う経路が4本、マスクの種類が3つある、という集計を表しています。
マスクがそろっている場合は「is subnetted, 2 subnets」の形になります。どちらも、その下に字下げして並ぶ行が本体です。
よく出るコードの意味
行頭のコードは、その経路を機器がどうやって知ったかを表します。全部覚える必要はなく、現場でよく見るのは次のあたりです。
| コード | 意味 | ひと言で |
|---|---|---|
| C | connected | 自分のインターフェースが直接つながっている範囲 |
| L | local | 自分のインターフェースのIPそのもの(/32) |
| S | static | 手で設定した静的経路 |
| S* | static+candidate default | 手で設定したデフォルトルート |
| O | OSPF | 同じエリアの中からOSPFで学んだ経路 |
| O IA | OSPF inter area | 別のエリアからOSPFで学んだ経路 |
| O E2/O E1 | OSPF external | OSPFの外(静的経路など)から再配布された経路 |
| D/D EX | EIGRP/EIGRP external | EIGRPで学んだ経路/外から再配布された経路 |
| B | BGP | BGPで学んだ経路 |
| R | RIP | RIPで学んだ経路 |
Lのコードは、比較的新しいIOS(15系以降)で表示されます。古い機器では出てこないので、表の見た目が少し違っても慌てなくて大丈夫です。
「*」は、その経路がデフォルトルートの候補であることを示します。S*のように、コードの後ろに付く形です。
経路が選ばれる順番|一番細かい一致・AD・メトリック
ADとメトリックは、どちらも「小さいほど優先」の数字です。ただ、比べる場面が違うので、順番を取り違えると読み間違えます。
経路の決まり方は3段階
- 表に載るまで(1・2)と、パケットを送るとき(3)で分かれます。
- 1同じプロトコル内の候補はメトリックで比べるOSPFならコスト、EIGRPなら複合メトリック。一番小さい経路がそのプロトコルの代表になる
- 2同じ宛先をプロトコル違いで知ったらADで比べる静的1とOSPF 110なら、静的が表に載る。OSPFの経路は表に出ない
- 3送るときは、宛先に一番細かく一致する行を使う0.0.0.0/0と10.2.0.0/16の両方に当てはまるなら、/16の行を使う
ADとメトリックは「表に載せる経路」を決める数字。転送のときは見ない。
図:メトリックとADで表に載る経路が決まり、送るときは一番細かい一致で選ぶ
シスコの資料も、同じ宛先プレフィックスを複数の出どころから受け取ったときにADの小さい経路が表に入ると説明しています。さらに、ADとメトリックは転送のときには評価されず、転送は表に入った経路のうち一番長く一致するものを使う、と明記しています。
| 経路の出どころ | 既定のAD |
|---|---|
| 直接接続(connected) | 0 |
| 静的経路(static) | 1 |
| eBGP | 20 |
| EIGRP(内部) | 90 |
| OSPF | 110 |
| IS-IS | 115 |
| RIP | 120 |
| EIGRP(外部) | 170 |
| iBGP | 200 |
| 不明(使わない) | 255 |
ADを使ったバックアップ経路
この順番を利用するのが、ADをわざと大きくした静的経路(フローティングスタティック)です。「ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 198.51.100.1 200」のようにADを200にすると、OSPFなどで同じ経路を学んでいる間は表に出ません。
主の経路が消えたときだけ表に現れて使われる、予備の道になります。show ip routeで予備の経路が見えないのは、正しく待機している状態です。
宛先やプロトコルで絞り込む
大きなネットワークでは経路が何千行にもなります。全部を流すより、見たいものだけに絞るのが実務の基本です。
| やりたいこと | 書き方 | 出るもの |
|---|---|---|
| ある宛先にどの経路が使われるか | show ip route 10.2.5.1 | 一致した経路の詳細(AD・メトリック・出どころ) |
| ある範囲より細かい経路を全部 | show ip route 10.0.0.0 255.0.0.0 longer-prefixes | 10.0.0.0/8に含まれる経路 |
| プロトコル別 | show ip route ospf/static/connected | その出どころの経路だけ |
| 本数の集計 | show ip route summary | 出どころ別の経路数 |
| VRFごと | show ip route vrf 名前 | そのVRFの表 |
文字列で絞るときは、パイプ(|)の後ろにincludeやbeginを付けます。
show ip route | include 10.2.
show ip route | begin Gateway
一番よく使うのは、宛先のIPアドレスを1つ付ける書き方です。どの経路が選ばれたかを、機器が答えてくれます。
Router# show ip route 10.2.5.1
Routing entry for 10.2.0.0/16
Known via "ospf 1", distance 110, metric 2, type intra area
Last update from 10.1.1.2 on GigabitEthernet0/1, 00:12:34 ago
Routing Descriptor Blocks:
* 10.1.1.2, from 10.255.0.2, 00:12:34 ago, via GigabitEthernet0/1
Route metric is 2, traffic share count is 1
「Routing entry for 10.2.0.0/16」が選ばれた経路です。「% Network not in table」と出たら、その宛先に一致する経路がありません。デフォルトルートがあればそちらを通ります。
経路が表に出ないときの切り分け
設定したはずの経路がshow ip routeに出てこない。構築や障害対応で何度も出会う場面です。原因はだいたい次の形に分かれます。
経路が出ないときに疑う場所
- あるはずの経路がshow ip routeに無い
- 静的経路が出ないネクストホップに届く経路が無い、出口のインターフェースがdown。show ip interface briefで確かめる
- OSPF・EIGRPの経路が出ない隣接が張れていない。show ip ospf neighbor/show ip eigrp neighborsを見る
- 別の出どころで載っている同じ宛先をADの小さい出どころで知っている。show ip route 宛先で出どころを確かめる
- もっと細かい経路に負けている表には載っているが、送るときは/24などの細かい経路が使われる
図:出ない理由は「届かない・隣と話せていない・別の経路が優先・細かい経路が勝つ」の4つ
- show ip route 宛先で、今どの経路が選ばれているかを見る
- show running-config | include ip routeで、静的経路の設定が入っているかを見る
- show ip interface briefで、出口のインターフェースがup/upかを見る
- ネクストホップにpingを打ち、隣まで届くかを見る
- ダイナミックルーティングなら隣接(neighbor)の一覧を見る
この順で見ると、「設定が無い」「出口が落ちている」「隣と話せていない」のどれかに早くたどり着けます。
WindowsやLinuxとの対応
同じ「経路表を見る」作業は、OSごとにコマンドが違います。読み方の考え方(一番細かい一致が勝つ)はどれも同じです。
| 機器・OS | 経路表を見る | 選ばれる経路を確かめる |
|---|---|---|
| Cisco IOS | show ip route | show ip route 宛先 |
| Windows | route print | Find-NetRoute -RemoteIPAddress 宛先 |
| Linux | ip route | ip route get 宛先 |
よくある質問
show ip routeの[110/2]は何を表していますか?
左の110がアドミニストレーティブディスタンス、右の2がメトリックを表します。110はOSPFの既定値で、2はOSPFのコストの合計です。どちらも小さいほど優先される点は同じでも、比べる場面が違います。
ADとメトリックはどちらが優先されますか?
同じ宛先を違うプロトコルから知ったときはADを先に比べ、同じプロトコルの中の候補はメトリックで比べます。そのうえで、パケットを送るときは表に載った経路のうち、宛先に一番細かく一致する経路が使われます。
「Gateway of last resort is not set」と出たら異常ですか?
デフォルトルートが無い、という意味です。社内の閉じたネットワークだけを扱う機器なら問題ないこともあります。インターネットに出る必要がある機器なら、静的なデフォルトルートやルーティングプロトコルからの配布が抜けていないかを確かめてください。
Lのコードの経路は消してもいいですか?
Lは自分のインターフェースに付けたIPアドレスそのものを表す経路で、IPを設定すると自動で入ります。消すものではありません。古いIOSでは表示されないだけで、動きは同じです。
経路が多すぎて画面が流れてしまいます
「terminal length 0」で画面の一時停止を外す方法もありますが、まずは絞り込みを使ってください。宛先のIPを付ける、「| include」で文字を絞る、「summary」で本数だけ見る、のどれかで読む量を減らせます。
まとめ
- show ip routeは、Cisco機器が今使っているルーティングテーブルを表示するコマンド
- 1行はコード・宛先・[AD/メトリック]・via・経過時間・出口の6つに分けて読む
- Gateway of last resortがデフォルトルート。not setなら表に無い宛先は捨てられる
- 表に載る経路はメトリックとADで決まり、送るときは一番細かい一致の経路が使われる
- 迷ったら「show ip route 宛先」で、機器が選んだ経路を直接確かめる
show ip routeで経路が正しく載っていると分かったら、次は実際に届くかです。ネクストホップや宛先へのpingやtracerouteで、表どおりに流れているかを確かめます。
ルーティングテーブルを読んで障害の場所を絞れる人は、構築・運用の求人で評価されやすくなります。経験年数や資格ごとに、ネットワークエンジニアの年収がどう変わるかをまとめた記事です。
免責事項
※本記事はシスコシステムズの公式ドキュメントなどの公開情報をもとに整理したものです。コマンドの表示や既定値は、IOSのバージョンや機器の設定によって変わる場合があります。業務で使う機器では、所属先の手順とベンダーの最新資料をあわせてご確認ください。

