ネットワークエンジニアにおすすめの資格一覧|取得順序と転職市場での評価を整理

この記事でわかること

  • ネットワークエンジニアの資格は取得順序と実務経験の組み合わせで転職市場の評価が決まること
  • 必須3層+推奨2層の資格マップ(CCNA・LinuC・AWS SAA・CCNP ほか10資格)の位置づけ
  • CCNA→LinuC→AWS SAA→CCNPという市場評価を最大化する取得順序とその根拠
  • 資格構成ごとの年収レンジの目安(CCNA単独・3点セット・CCNP+実務)
  • 資格コレクターに陥らない3つの判断軸と、よくある失敗パターン
  • IT特化型エージェントに相談すべきタイミングを3段階で整理

公的情報源: 独立行政法人情報処理推進機構(ITSS)/経済産業省「IT人材需給に関する調査」(参照)/Cisco・AWS 認定公式情報

結論を先に書きます

ネットワークエンジニアの資格は「数多く取れば年収が上がる」ものではありません。取得順序と実務経験の組み合わせで、転職市場での評価が大きく変わります。

必須レイヤーはCCNA→LinuC(またはLPIC)→AWS SAA→CCNPの4資格です。ここを2〜3年で順番通りに取得すると、年収レンジは元の400万円台前半から500〜600万円台へシフトする可能性が高まります。逆に、順序を誤って資格を5〜6個累積しても、書類選考で評価されないことがあります。

この記事の要点
  • 資格は単独ではなく職務経歴書の実務記述とセットで読まれる。順序の合理性が書類通過率を左右する
  • 必須3層の4資格(CCNA・LinuC・AWS SAA・CCNP)を2〜3年で順番に取るのが市場評価最大化ルート
  • 推奨1層(国家資格・支援士)・推奨2層(クラウド・コンテナ)はキャリア方向に応じて1〜2個を追加
  • 年収を大きく上げるには「資格+実務+設計工程経験」の3点が揃う必要がある

本記事は、IPA・経済産業省・JISA・厚生労働省・Cisco・AWSの公開情報をもとに、必須3層+推奨2層の資格マップ、取得順序の根拠、資格と年収の対応、エージェント相談タイミングを整理します。年収レンジや市場評価は2026年時点の目安であり、企業・地域・案件で変動します。

目次

なぜ「資格一覧」だけでなく「取得順序」が重要なのか

結論から言えば、転職市場では資格が単独で評価されることはほぼありません。職務経歴書の実務記述と組み合わせて読まれます。

多くの資格まとめ記事は、CCNAからCCNP、AWS SAA、LinuC、ネットワークスペシャリストまでを横並びで列挙します。情報量としては便利ですが、書類選考の現場で何が起きるかは反映されていません。企業が資格を評価するのは「取得順序」と「実務経験」の組み合わせです。

資格は「市場での読まれ方」に階層がある

企業が資格欄を見るときの優先順位は、おおむね次の3軸で決まります。各軸の重みを理解しておくと、どの資格をどの順で取るかの判断がぶれません。

  1. 業務との一致度:ネットワーク構築の求人なら、CCNAやCCNPは一致度が高く、応用情報は低めに読まれる
  2. 難易度と希少性のバランス:CCNPやAWS SAPは難易度と認知が高く、書類通過率に乗りやすい
  3. 取得順序の合理性:CCNA→CCNPは自然だが、CCNPなしでネットワークスペシャリストのみは疑問符が付く

3つ目の「取得順序の合理性」は、まとめ記事ではあまり触れられない論点です。資格欄に5個並んでいても、「順序が不自然」「実務経験と噛み合っていない」と判断されると、書類通過率は資格2〜3個の応募者と同水準か、それを下回ることがあります。数より整合性が読まれます。

経済産業省の人材需給調査と現場感のズレ

経済産業省のIT人材需給に関する調査では、2030年時点のIT人材不足が最大約79万人と推計され、業界全体は売り手市場が続く見通しです。同調査は、人材不足が「設計・構築・クラウド・セキュリティ・データ」の上位レイヤーに偏ることも指摘しています。

ここが資格選びの重要な背景です。市場全体は売り手でも、不足が大きいレイヤーに自分が乗らないと年収の伸びは限定されます。たとえばCCNAだけでオペレーションを続けた場合と、CCNA+AWS SAA+構築実務を持つ場合では、50〜100万円の差が出ることがあります。

また、IPAのITSS(ITスキル標準)では、エンジニアの熟達度をレベル1〜7で定義しています。資格はこの定義と緩く対応し、CCNAはレベル2〜3、CCNPはレベル3〜4、ネットワークスペシャリストはレベル4と位置付けられることが多いです。順序通りに積むとレベルが一段ずつ上がる設計になっており、企業側の評価構造とも整合します。

必須3層と推奨2層|ネットワークエンジニアの資格マップ

まず全体像を一覧で示します。ここでの「必須」「推奨」は企業が必ず要求する意味ではなく、年収レンジを上げる効果が見られた度合いを指します。

資格目安学習時間位置づけ
必須1層CCNA(200-301)120〜150時間入場券。これがないとNW系求人の書類通過率が下がる
必須2層LinuC(または LPIC)レベル180〜120時間サーバー・運用への横展開。OS理解の証明
必須2層AWS SAA(SAA-C03)100〜120時間クラウド転換の基礎。2026年市場で実質必須に近い
必須3層CCNP Enterprise(ENCOR+ENARSI)300〜400時間中堅NWエンジニアの証明。設計工程参画の根拠
推奨1層ネットワークスペシャリスト試験250〜350時間国家資格としての差別化。SIerプライム評価が高い
推奨1層応用情報技術者試験200〜250時間IT基礎の網羅証明。総合型大手で評価される
推奨1層情報処理安全確保支援士300〜400時間セキュリティ専業の上位資格。登録費用が継続発生
推奨2層AWS SAP(Professional)200〜300時間クラウドネイティブ案件で評価。SAAの自然な延長
推奨2層CKA(Kubernetes Administrator)100〜150時間コンテナ・マイクロサービス案件で評価が上昇中
推奨2層Azure(AZ-104)/GCP PCA120〜200時間マルチクラウド案件の差別化資格

これら10資格をすべて取得する必要はありません。推奨ルートは、必須3層の4資格を2〜3年で順番に取得し、その後にキャリア方向(NW専業/インフラ全般/クラウド/セキュリティ)に応じて推奨1〜2層から1〜2資格を追加する形です。

必須1層|CCNA(200-301)はなぜ最初に取るべきか

CCNAは、Ciscoが認定するネットワーク技術者の基礎資格です。結論として、最初の1枚はCCNA一択と考えてよいでしょう。

Cisco Learning Network Japanの公式情報では、現行のCCNA(200-301)は1試験構成で、ネットワーク基礎・IPv4/IPv6・ルーティング・スイッチング・無線LAN・自動化・セキュリティ基礎を広めにカバーします。受験料はおおむね46,860円(税込・2026年6月時点の目安、為替変動あり)です。

「入場券」と呼ばれる理由

CCNAを「最低ライン」として見ている企業は、SIerプライム・事業会社のインフラ部門・SES企業のいずれにも多くあります。CCNAがないと、企業は「ネットワークの基礎理解がどの程度あるか」を職務経歴書から読み解く必要があり、判断コストが高くなります

逆にCCNA保有が確認できると、その読解コストが下がり、書類通過率が一段上がる構造です。CCNAは年収を直接上げる資格ではなく、選考の土俵に乗るための資格と理解しておくと、過剰な期待で消耗せずに済みます。

監視業務やヘルプデスクの経験がある場合、アラート切り分けの実感があるとIPルーティングやスイッチングの章が頭に入りやすく、学習効率が上がります。

CCNA取得タイミングの目安

取得タイミングは、現在の立場によって変わります。次の3シナリオで整理しておくと判断しやすくなります。

  • 未経験から目指す場合:転職活動の3〜6ヶ月前に取得を完了させる。履歴書に乗ってから動くと書類通過率が大きく変わります
  • 監視オペレーター・ヘルプデスクの場合:在職中に取得し、社内異動の交渉カードと転職準備材料を同時に整える
  • 運用保守を1〜2年経験している場合:実務+CCNAで構築工程への横展開を狙う。設計補助求人の応募が現実圏に入ります

実務経験があってもCCNAは取得しておくほうが、書類選考の通過率が安定します。「監視3年だけ」で設計補助求人に応募して書類がほぼ通らなかったケースは少なくありません。

CCNA取得後、いつ動き出すかの時期設計はCCNA取得後、転職まで何ヶ月かけるべきかで詳しく整理しています。

必須2層|LinuC(LPIC)・AWS SAAで横展開の足場を作る

CCNAを取得したら、次の6〜9ヶ月でLinuCレベル1(またはLPIC-1)とAWS SAAを取得するのが推奨ルートです。順序はどちらが先でも構いませんが、両方を1年以内に揃えると、応募できる職種が大きく広がります。

LinuC(LPIC)レベル1はOS理解の証明として効く

LinuCはLPI-Japanが認定するLinux技術者向け資格で、LPICは世界共通のLinux資格です。レベル1の出題範囲は、システム構成・コマンドライン操作・ユーザー管理・ファイルシステム・パッケージ管理・基本ネットワーク設定など、運用保守業務に直結する内容です。

ネットワークエンジニアにLinux資格が効く理由は明確です。現代のネットワーク機器(ホワイトボックススイッチ・SDNコントローラ・ロードバランサ)の多くがLinuxベースで動作しており、運用・トラブルシューティングでLinux操作が必須になっているためです。CCNA+LinuCを持つ運用保守エンジニアは、設計補助案件の引き合いが増えやすくなります。

受験料は1試験あたり16,500円(税込・2026年6月時点の目安)で、レベル1は2試験(101/102)構成です。学習時間は80〜120時間が目安で、CCNA取得済みであれば「ネットワーク基礎」の章は流し読みで済みます。

AWS SAAは2026年市場で実質必須に近づいた

AWS SAA(SAA-C03)は、AWS 認定の中で最も受験者数が多い中級資格です。主要サービス(EC2/VPC/S3/IAM/RDS/Lambda/CloudWatch/Route 53)の設計判断を問い、受験料は15,000円(税込・2026年6月時点)です。

NWエンジニアにとっての位置づけは、次のように整理できます。クラウド時代の応募権を確保する一枚と捉えるのが実態に近いはずです。

  • クラウドネイティブ案件への応募権:2026年の求人票で「AWS実務経験ありまたはAWS SAA保有」を必須要件とするものが増えました
  • ハイブリッド設計案件:VPC・Direct Connect・Transit Gatewayを理解しているNWエンジニアは重宝されます
  • 監視・運用のクラウド移行:CloudWatchとオンプレ監視(Zabbix/NetCool)の両方を理解する人材は需要が高い

IPAのクラウド利用に関する公表資料でも、クラウド移行案件は中長期に続く見通しです。AWS SAAの取得は、5〜10年スパンのキャリア継続性にも効く投資といえます。

CCNA→LinuC→AWS SAAの順序が「市場評価最大化ルート」になる理由

この順序を推奨するのは、それぞれの資格が前の資格の理解を前提に設計されているためです。CCNAでIP・ルーティング・スイッチングの基礎が入ると、LinuCのネットワーク設定章が短時間で理解できます。LinuCでコマンドラインに慣れると、AWS SAAのVPC・EC2設計問題で必要な「OSレベルの理解」が浮かびやすくなります。

逆にAWS SAAを先に取ると、物理ネットワークの理解が後追いになり、学習効率が下がります。順序を守ることで、累計学習時間300〜350時間で3資格を取得できる設計になります。

必須3層|CCNP Enterpriseで「中堅NWエンジニア」の証明をする

CCNA→LinuC→AWS SAAを取得した後、ネットワーク専業として継続する場合の次の到達点がCCNP Enterpriseです。ここまで来ると、設計工程への参画が現実的な射程に入ります。

Cisco Learning Network Japanの公式情報では、CCNP EnterpriseはENCOR(350-401)のコア試験とENARSI(300-410)等のコンセントレーション試験を組み合わせた2科目構成です。受験料はそれぞれ47,300円(税込・2026年6月時点の目安)で、両試験合計でおおむね10万円規模の投資になります。

CCNP Enterpriseが市場で読まれる位置づけ

CCNPを取得すると、CCNA単独保有時とは読まれ方が明確に変わります。とくに次の3点で評価が動きます。

  • 設計工程参画の根拠:OSPFリデストリビューション・BGP・QoS・無線LANコントローラなどの上位プロトコル理解を含むため、「設計工程に入れる人材」と読まれます
  • SIerプライムの応募権:設計補助〜設計担当ポジションでCCNP保有が応募条件になっているケースが増えています
  • 年収交渉のカード:年収交渉で「CCNP保有」が+30〜50万円のカードとして機能した事例があります

注意点として、CCNPは「中堅以上」の証明であって、「設計の即戦力」を保証するものではありません。実務経験が3年未満の場合は面接で動ける範囲を確認されることが多く、資格と実務の両輪が揃って初めて年収レンジの底上げに繋がります。

CCNP取得タイミングの目安

CCNPは、実務経験と組み合わせて初めて価値が乗ります。次の2シナリオで取得タイミングを設計するのが現実的でしょう。

  • 運用保守3年・構築補助1年経験がある場合:CCNP取得→次の転職を組み合わせる。年収+50〜100万円のアップが現実圏に入ります
  • 設計補助に1〜2年入っている場合:CCNP取得を機に「設計担当」「上流SE」への転職を狙う

学習時間目安はCCNA取得後で300〜400時間です。平日2時間×週5日+週末5時間で6〜8ヶ月の計算ですが、実務と並行すると6ヶ月ペースは余裕を見ておくほうが現実的です。

CCNP取得後の転職先選びと年収・求人数の比較はCCNP転職先の年収と求人数比較で整理しています。

推奨1層|国家資格と支援士で差別化する

必須3層の4資格を取得した後の上積みが推奨1層です。すべて取る必要はなく、キャリア方向に応じて1〜2個を選びます。

ネットワークスペシャリスト試験|国家資格としての差別化

ネットワークスペシャリスト試験は、IPAが実施する情報処理技術者試験の高度区分の1つで、合格率はおおむね15%前後です。ベンダーニュートラルで、特定企業の機器に依存しない「ネットワーク全般の設計・運用」を扱う点がCCNPとの違いです。

SIerプライム・公共系SI・通信キャリア系では、国家資格としての評価が高く、書類通過率が安定して高くなる傾向があります。受験料は7,500円(税込・2026年6月時点の目安)とCCNPより大幅に安い反面、合格率の低さと年2回(4月/10月)の受験機会で、難易度はCCNPと同等以上です。

SIerプライム志向で進むなら、ネットワークスペシャリストをCCNPより先に検討する選択肢もあります。Cisco機器中心の構築案件が主戦場なら、業務一致度の高いCCNPを優先するのが整理です。

応用情報技術者試験|IT基礎の網羅証明

応用情報技術者試験は、IPAのレベル3区分で、ネットワーク・データベース・セキュリティ・システム開発・経営戦略までIT全般の基礎を網羅します。合格率はおおむね20〜25%、受験料は7,500円(税込・2026年6月時点の目安)です。

NWエンジニアにとっては「ネットワーク以外も含めたIT基礎」の証明として読まれます。総合型大手企業(事業会社のIT部門・コンサルのIT部門)で評価される傾向があり、IT横断ポジションを狙う場合に効きます。純粋なネットワーク専業を狙うなら、業務一致度の点でCCNPが上です。

情報処理安全確保支援士|士業資格としての注意点

情報処理安全確保支援士は、IPAが認定するセキュリティ専門人材の国家資格(士業資格)です。合格率は15〜20%前後、受験料は7,500円(税込・2026年6月時点の目安)です。NWエンジニアがセキュリティ専業に進む場合の上位資格にあたります。

注意点は、士業資格のため合格しただけでは「情報処理安全確保支援士」を名乗れないことです。名乗るには登録手続きと継続的な講習受講が必要で、登録費用と更新費用が継続発生します。IPAの公式案内でも、登録手数料・登録免許税、3年ごとの実践講習および年1回の集合講習費用が明示されています。

支援士は「セキュリティ専業」または「セキュリティ責任者ポジション」を狙う場合の資格で、純粋なネットワーク専業では費用対効果が薄くなる可能性があります。個別のキャリア判断は、セキュリティ専門のキャリア相談窓口に確認するのが安全です。

推奨2層|クラウド・コンテナ・マルチクラウド資格

推奨2層は、必須3層+推奨1層を取得した後の上積みです。ここまで進む人は限られ、多くは推奨1層までで止まり、その先は実務と転職実績で年収を伸ばすルートに進みます。

AWS SAP(Solutions Architect Professional)

AWS SAPは、AWS 認定の最高難度Professional区分で、大規模システム設計・マルチアカウント設計・移行戦略を扱います。学習時間目安は200〜300時間、受験料は30,000円(税込・2026年6月時点)です。

SAA取得後の自然な延長で、クラウドネイティブ案件の設計担当・上流SEで強い差別化資格として読まれます。SAP保有者の年収レンジは、SAA単独保有者と比べて+50〜100万円のレンジに乗るケースが多くあります。

CKA(Certified Kubernetes Administrator)

CKAはCNCFが認定するKubernetes運用の資格で、コンテナ・マイクロサービス案件で評価されます。学習時間目安は100〜150時間、受験料は395米ドル(2026年6月時点の目安、為替変動あり)です。

2026年市場では、AWS SAA+CKAの組み合わせが「クラウドネイティブ+コンテナ運用ができる人材」として求人タグで明示されるケースが増えました。クラウドネイティブNW(VPC・Service Mesh・Ingress)に踏み込むなら、CKAは自然な選択肢になります。

Azure(AZ-104)/GCP Professional Cloud Architect

マルチクラウド案件の差別化として、Azure のAZ-104やGoogle Cloud のProfessional Cloud Architectを追加するルートもあります。日本市場の求人母数はAWSが最多ですが、官公庁系・金融系でAzureの採用が増えており、AWS+Azureの両方を扱える人材は希少性が出ます。

資格と年収の対応|資格構成別の目安レンジ

ここからは、資格構成と年収レンジの対応を整理します。あくまで2026年時点の目安レンジで、企業・地域・案件で大きく変動します。

資格構成実務経験年収レンジ目安主な応募ポジション
資格なし監視オペレーター3年320〜380万円監視継続・監視リーダー
CCNAのみ監視3年+運用保守1年380〜440万円運用保守・運用リーダー
CCNA+LinuC運用保守3年420〜480万円運用保守リーダー・構築補助
CCNA+AWS SAA運用保守3年440〜520万円運用保守・クラウド移行案件
CCNA+LinuC+AWS SAA運用保守3年+構築補助1年480〜580万円構築補助・設計補助
CCNP+AWS SAA+実務4年構築・設計4年550〜700万円設計担当・SIerプライム上流SE
CCNP+AWS SAP+実務6年設計・要件定義6年650〜850万円上流SE・テックリード・自社開発NW部門
CCNP+ネットワークスペシャリスト+実務5年設計・SIerプライム5年600〜800万円SIerプライム上流SE・公共系SI

この表で強調したいのは、CCNAだけ単独では年収+50万円に届きにくいことです。実務経験との組み合わせで+40〜60万円のシフトはありますが、レンジを大きく上げるには「CCNA+LinuC+AWS SAA」の3点セット、または「CCNP+AWS SAA+設計実務」まで進む必要があります。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査職業情報提供サイト(job tag)では、情報処理・通信技術者の平均年収が公表されています。上位帯に乗るには「資格+実務+設計工程経験」の3点が揃う必要がある、というのが整理です。

一般社団法人 情報サービス産業協会(JISA)の統計でも、設計・コンサルティング工程に近い職種ほど単価が高い傾向が示されています。資格取得を「設計工程に入るための条件整備」と位置付けると、年収構造と統計が緩く整合します。経験年数別の年収内訳はNWエンジニアの年収(経験別・資格別)も参照してください。

資格コレクターに陥らない3つの失敗パターン

ここでは、転職市場で評価されにくくなる典型的な失敗3パターンと、その回避策を整理します。資格を取ること自体には学習価値がありますが、市場評価の観点では避けたい型があります。

  1. 実務経験ゼロのままCCNPまで一気に取得して書類選考連敗
  2. 取得順序の逆走で前提知識が積み上がらない
  3. 「資格を取れば年収が上がる」と直結思考で実務改善を後回し

失敗1:実務経験ゼロのままCCNPまで一気に取得して書類選考連敗

未経験から独学でCCNA+AWS SAA+CCNPを1年で取得しても、ネットワーク構築系求人で書類がほぼ通らないことがあります。原因は明確で、企業がCCNP保有者に期待するのは「設計工程の実務経験がある中堅エンジニア」であり、未経験者がCCNPを持っていても「資格と実務のミスマッチ」と読まれるためです。

回避策:未経験から始める場合、CCNA→運用保守入職→1〜2年実務→CCNP取得、の順序を守ります。CCNPは「実務経験との組み合わせ」で初めて評価される資格と理解しておくのが安全です。

失敗2:取得順序の逆走で前提知識が積み上がらない

AWS SAA→CCNAの逆順で進めると、AWS SAAは短期間で取れても、その後にIPの基礎・サブネット計算・ルーティングを初学で学び直す必要があり、結果的にCCNAに時間がかかります。順序を守れば累計学習時間を2ヶ月ほど短縮できるケースもあります。

回避策:自分のキャリア方向を「NW専業/NW+クラウド/クラウドネイティブ」のどれに置くかを先に決めます。NW専業またはNW+クラウドなら、CCNA→LinuC→AWS SAA→CCNPの順を推奨します。

失敗3:「資格を取れば年収が上がる」と直結思考で実務改善を後回し

業務時間を圧縮してまで学習に振り切り、CCNPまで取得しても、職務経歴書の数字化が後回しになると書類通過率は伸びにくくなります。資格は「書類選考の足切りを通過する条件」であって、「年収を直接決める要素」ではありません。

回避策:資格学習時間の3割を、職務経歴書の数字化と実務改善(自動化スクリプト作成・手順書整備)に振り分けます。資格+実務記述の両輪が揃って初めて、書類通過率と年収交渉のカードが揃います。

学習時間総計と現実的なスケジュール

必須3層の4資格を取得する場合の学習時間総計と費用を整理します。投資の全体像を把握しておくと、無理のないペース設計ができます。

資格学習時間目安受験料目安(税込)取得期間目安
CCNA(200-301)120〜150時間46,860円3〜4ヶ月
LinuC レベル1(101/102)80〜120時間33,000円(2試験合計)3〜4ヶ月
AWS SAA(SAA-C03)100〜120時間15,000円2〜3ヶ月
CCNP Enterprise(ENCOR+ENARSI)300〜400時間94,600円(2試験合計)6〜9ヶ月
合計600〜790時間189,460円14〜20ヶ月

合計学習時間は600〜790時間、受験料は約19万円です。在職中に1.5〜2年かけて取得するのが現実的なペースになります。平日2時間×週5日+週末5時間なら週15時間・月60時間で、12ヶ月で720時間という計算です。ただし在職中の負荷を考えると、18〜24ヶ月の幅を持たせるのが安全側です。

受験料の19万円は小さくない投資です。SIerプライム企業や事業会社のIT部門では、CCNA・CCNP・AWS SAAへの資格取得支援制度(受験料補助・合格時報奨金)を持つ企業が増えています。社内規程を確認して、使えるものは活用してください。

エージェント活用|資格取得タイミングでの相談がレバーになる

資格取得を進めるうえで、IT特化型エージェントへの相談タイミングを設計しておくと、学習投資の精度が上がります。相談タイミングは次の3段階です。

  1. CCNA取得直後(情報収集ベース)
  2. 必須3層完成時(本格的な求人選定)
  3. 推奨2層追加検討時(次の3〜5年の方向性確認)

タイミング1:CCNA取得直後(情報収集ベース)

CCNA取得直後、転職活動を本格化させる前の段階で、IT特化型エージェント1社に「情報収集ベース」で登録します。目的は転職そのものではなく、「いまの市場価値」「応募できるポジションのレンジ」「動き出すまでに補強すべきもの」の確認です。

ここで良い担当者と出会えると、6〜12ヶ月のスパンで「次に取るべき資格」「補強すべき実務経験」を一緒に整理してくれます。逆に「いますぐ動かないと求人が消えます」と短期プレッシャーをかける担当者は、長期相談の相手としては合っていないため、別の担当者に切り替えるのが賢明です。

タイミング2:必須3層完成時(本格的な求人選定)

CCNA+LinuC+AWS SAA+CCNPの必須3層を完成させた段階で、本格的な求人選定に入ります。ここではIT特化型を2社+総合型大手1社の3社併用にすると、求人母数と担当者の質の差を吸収できます。

種別推奨用途狙い
IT特化型(メイン)求人精度・案件構造の精査・年収交渉専門性の高い紹介を受ける
IT特化型(サブ)別軸の求人母数確保・別担当の意見聴取担当者の質の差を吸収する
総合型大手求人母数・他業界比較選択肢の幅を広げる

IT特化型を2社入れる理由は、担当者の質の差を吸収するためです。1社目が「SIerプライム求人」中心でも、2社目で「事業会社の自社開発NW部門」「Web系のSRE」を提示してくれる担当者に当たることがあります。エージェント各社の特徴比較はIT転職エージェント比較おすすめで整理しています。

タイミング3:推奨2層追加検討時(次の3〜5年の方向性確認)

必須3層を取得して転職を1回行った後、推奨2層(AWS SAP・CKA・Azure)の追加を検討する段階で、エージェントに「次の3〜5年の市場動向」を確認します。クラウドネイティブ案件・コンテナ案件・SREポジションの求人母数の変化は、エージェントが最も早く情報を持つため、独学だけでは見えない市場感を補完できます。

未経験からネットワークエンジニアを目指す段階の方は、未経験NWエンジニアのなり方(最短ルート)も合わせて確認すると、資格取得と並行した動き方が見えてきます。

よくある質問

ネットワークエンジニアの資格について、相談で頻出する10問を整理します。

Q1:最初に取るべき資格は何ですか?

推奨はCCNA(200-301)です。理由は3点あります。企業の書類選考で「最低ライン」として読まれる頻度が最も高いこと、IPアドレス・ルーティング・スイッチング・無線LAN・自動化・セキュリティ基礎を網羅し、その後のLinuC・AWS SAA・CCNPの学習効率にも繋がること、学習時間120〜150時間で取得できる難易度バランスです。未経験から始める場合も、運用保守経験がある場合も、最初の1枚はCCNAを推奨します。

Q2:CCNAとAWS SAAはどちらを先に取るべきですか?

NW専業またはNW+クラウドの両方を狙う場合はCCNA→AWS SAAの順を推奨します。CCNAでIP・ルーティング・スイッチングの基礎が入っていると、AWS SAAのVPC・Direct Connect・Transit Gatewayの設計問題でOSI参照モデルとの対応が頭に入りやすくなるためです。「クラウドネイティブ系企業しか狙わない」とキャリアを絞っている場合はAWS SAAを先にする選択もありますが、その場合もCCNAは1年以内に追加取得するほうが、転職時の選択肢が広がります。

Q3:資格を5〜6個取れば年収は確実に上がりますか?

資格の数だけで年収が直線的に上がるわけではありません。年収を大きく上げる組み合わせは「CCNA+LinuC+AWS SAA+設計補助1年以上」または「CCNP+AWS SAA+設計実務4年以上」のパターンが多く、資格を5〜6個累積しても実務経験との噛み合わせがなければ書類通過率は伸びにくくなります。資格と実務の両輪で考えるのが現実的です。

Q4:未経験からCCNPまで一気に取得するのは効率的ですか?

未経験から実務ゼロのままCCNPを取得しても、書類選考で「資格と実務のミスマッチ」と読まれて通過率が想定より低くなるケースがあります。未経験から始める場合は、CCNA→運用保守入職→1〜2年実務→CCNP取得の順序を推奨します。CCNPは実務経験との組み合わせで初めて市場評価が乗る資格で、未経験段階で取得しても投資効果が薄くなる傾向があります。

Q5:ネットワークスペシャリスト試験とCCNPはどちらが評価されますか?

企業のタイプによって評価軸が分かれます。SIerプライム・公共系SI・通信キャリア系では、国家資格であるネットワークスペシャリスト試験の評価が高く、ベンダーニュートラルの理解の証明として読まれます。一方、Cisco機器中心の構築案件・事業会社の自社開発NW部門では、CCNPの業務一致度が高く評価されます。自分が目指すキャリア方向(SIer志向か事業会社志向か)で選ぶのが現実的です。

Q6:情報処理安全確保支援士はNWエンジニアにも必要ですか?

NW専業として継続する場合の必須資格ではありません。支援士は「セキュリティ専業エンジニアに進む」または「セキュリティ責任者ポジションを狙う」場合の上位資格です。さらに士業資格のため合格後の登録費用と継続的な講習受講費用が発生します。CCNA→LinuC→AWS SAA→CCNPの必須3層を取得した後、キャリア方向にセキュリティが含まれる場合に追加検討するのが現実的な順序です。

Q7:LinuC(LPIC)とAWS SAAはどちらを先に取るべきですか?

どちらが先でも構いませんが、「運用保守業務を改善したい」「サーバー管理スキルを早期に積みたい」場合はLinuCを先に、「クラウド移行案件に早く入りたい」場合はAWS SAAを先に取るのが整理です。両方を1年以内に取得すると「NW+サーバー+クラウドの3レイヤー基礎」が揃い、求人応募できる職種が広がります。

Q8:CCNP取得後、転職と現職継続のどちらが年収を上げやすいですか?

見てきた範囲では、CCNP取得後に転職活動を行ったケースで年収+50〜100万円のアップが中央値、現職継続のまま昇給材料にしたケースで年収+10〜30万円が中央値でした。転職市場での再評価のほうが、現職の昇給査定よりCCNPの価値を金額に変換しやすい傾向があります。ただし転職には時間・労力・ミスマッチリスクが伴うため、現職の昇格・昇給見込みと比較したうえで判断してください。

Q9:資格取得の費用は会社の支援制度を使えますか?

SIerプライム企業・事業会社のIT部門・大手SES企業では、CCNA・CCNP・AWS SAA・LinuCへの支援制度(受験料補助・合格時報奨金・更新料補助)を持つ企業が増えています。現職の社内規程または人事ポータルで「資格取得支援制度」を確認してください。支援制度がない場合でも、確定申告で「特定支出控除」の対象として資格取得費用を申告できる可能性があります。個別判断は税理士または所轄税務署に確認してください。

Q10:エージェントへの相談は資格取得前と取得後のどちらが良いですか?

推奨は「CCNA取得直後」の情報収集ベースの相談です。CCNAを取得した時点で「現職経験+CCNA」での市場価値の概算を聞けるためで、その上で6〜12ヶ月後の動き出しに向けて「次に取るべき資格」「補強すべき実務経験」を担当者と整理できます。資格取得前は応募できる求人レンジが狭く相談内容も限定的になりがちです。本格的な求人選定は必須3層完成時に行うのが、累積投資効果が高くなる進め方です。

まとめ|資格マップは「順序+実務」の両輪で読む

本記事では、ネットワークエンジニアにおすすめの資格を、IPA・経済産業省・厚生労働省・JISA・Cisco・AWSの公開情報をもとに、必須3層+推奨2層の構造で整理しました。最後に要点をまとめます。

この記事のまとめ
  • 必須3層の4資格は CCNA→LinuC(LPIC)→AWS SAA→CCNP の順で2〜3年かけて取るのが市場評価最大化ルート
  • 推奨1層(ネットワークスペシャリスト・応用情報・情報処理安全確保支援士)は、SIerプライム志向またはセキュリティ専業に進む場合の差別化資格
  • 推奨2層(AWS SAP・CKA・Azure)は、クラウドネイティブ・マルチクラウド案件で評価される追加資格
  • 年収レンジの目安は、CCNA単独で380〜440万円、CCNA+LinuC+AWS SAAで480〜580万円、CCNP+AWS SAA+実務4年で550〜700万円
  • 資格コレクターに陥らない判断軸は「実務経験との同時並行」「取得順序の合理性」「職務経歴書の数字化を学習時間の3割で並行」の3点
  • エージェント相談タイミングは「CCNA取得直後(情報収集)」「必須3層完成時(本格応募)」「推奨2層追加検討時(3〜5年確認)」の3段階で設計する

資格取得は、学習投資としても市場価値の証明としても意味のある行動です。ただし取得そのものがゴールではなく、その先の実務経験との組み合わせで初めて年収レンジの底上げが実現します。最終的な資格選びとキャリア判断は、IT特化型エージェントの個別相談・複数業界比較・現職での実務改善の3点を踏まえて行ってください。


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免責事項

※本記事の資格情報・受験料・年収レンジは2026年6月時点の公開情報および一般的な傾向をもとにした整理であり、最新の試験要項・費用・市場動向は各認定団体・公的機関の公式情報をご確認ください。資格取得費用の税務上の取り扱いや個別のキャリア判断は、税理士・キャリア相談窓口など専門家へご相談ください。


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