CIDR表記は、IPアドレスの範囲を「192.168.1.0/24」のように、先頭のアドレスとネットワーク部のビット数で表す書き方です。/24は先頭24ビットがネットワークという意味で、マスクの255.255.255.0と同じ、アドレスは256個です。
この記事でわかること
- CIDR表記の/の数字が何を表すかと、クラスA・B・Cとの違い
- /8〜/32の一覧(マスク・アドレス数・/24何個分か)
- CIDR表記から範囲の先頭と最後を読む方法
- 複数のネットワークを1行にまとめる経路集約の書き方
- Linux・Windows・Cisco・AWSでの実際の書き方の違い
一次情報: RFC 4632「Classless Inter-domain Routing (CIDR)」(参照)/RFC 1918「Address Allocation for Private Internets」(参照)/AWS「Subnet CIDR blocks」(参照)※2026年10月時点
CIDRと経路集約は、ネットワークスペシャリスト試験の午前でもよく問われます。試験のCBT化で何が変わるか、合格率の中身は別の記事にまとめました。
CIDR表記とは?「アドレス/ビット数」の書き方
CIDR表記とは、IPアドレスの範囲を「アドレス/数字」で表す書き方です。/の後ろの数字はプレフィックス長と呼ばれ、先頭から何ビットがネットワークの番号かを示します。
CIDRの決まりをまとめたRFC 4632では、4つに区切ったアドレスの後に「/」と0〜32の数字を付ける形と定めています。/24なら先頭24ビットがネットワーク、残り8ビットが機器の番号です。
| 書き方 | 例 | よく見る場所 |
|---|---|---|
| CIDR表記 | 192.168.1.0/24 | Linux、経路表、クラウド、ファイアウォール |
| サブネットマスク | 192.168.1.0 255.255.255.0 | Windowsの画面、Cisco IOSの設定 |
2つは同じ範囲を表しています。マスクの1の数を数えた値が、CIDR表記の/の数字です。
クラスA・B・Cをやめた理由
CIDRの前は、アドレスの先頭の数字でネットワークの大きさが決まる「クラス」の方式でした。クラスAは/8、クラスBは/16、クラスCは/24という固定の大きさ。
| 項目 | クラスの方式 | CIDR |
|---|---|---|
| 大きさの決まり方 | アドレスの先頭で自動的に決まる | /の数字で自由に決める |
| 選べる大きさ | /8・/16・/24の3種類 | /0〜/32のどれでも |
| 経路表の書き方 | マスクを書かなくても読めた | マスク(/の数字)も一緒に運ぶ |
RFC 4632によると、1990年代の初めに、クラスBでは大きすぎ、クラスCでは小さすぎる組織が増え、経路表もふくらみ続けました。そこで、大きさを自由に切れるCIDRへ切り替わったという流れです。RFC 4632の例では、旧クラスBの172.16.0.0は「172.16.0.0/16」という書き方です。
CIDR表記の一覧(/8〜/32)
/の数字が1つ小さくなるごとに、アドレスの数は2倍になります。アドレス数は「2の(32−/の数字)乗」で出せます。
| CIDR表記 | サブネットマスク | アドレス数 | /24の何個分か |
|---|---|---|---|
| /8 | 255.0.0.0 | 16,777,216 | 65,536 |
| /12 | 255.240.0.0 | 1,048,576 | 4,096 |
| /16 | 255.255.0.0 | 65,536 | 256 |
| /20 | 255.255.240.0 | 4,096 | 16 |
| /21 | 255.255.248.0 | 2,048 | 8 |
| /22 | 255.255.252.0 | 1,024 | 4 |
| /23 | 255.255.254.0 | 512 | 2 |
| /24 | 255.255.255.0 | 256 | 1 |
| /25 | 255.255.255.128 | 128 | 半分 |
| /26 | 255.255.255.192 | 64 | 4分の1 |
| /27 | 255.255.255.224 | 32 | 8分の1 |
| /28 | 255.255.255.240 | 16 | 16分の1 |
| /29 | 255.255.255.248 | 8 | 32分の1 |
| /30 | 255.255.255.252 | 4 | 64分の1 |
| /32 | 255.255.255.255 | 1 | 機器1台 |
機器に付けられる台数は、ふつうアドレス数から2を引いた数です。先頭はネットワーク、最後はブロードキャストに使うためです。
CIDR表記から範囲の先頭と最後を読む
CIDR表記を見たら、まず/の数字が8の倍数かどうかを見ます。8・16・24なら、区切りがオクテットの境目にあるので暗算で読めます。
- /8:最初の1つが固定。10.0.0.0/8 は 10.0.0.0〜10.255.255.255
- /16:最初の2つまでが同じ。192.168.0.0/16 は 192.168.0.0〜192.168.255.255
- /24:最初の3つまでが決まり、最後だけが変わる。192.168.1.0/24 は 192.168.1.0〜192.168.1.255
8の倍数でないときは、境目のオクテットを「2の(次の8の倍数−/の数字)乗」ずつ区切ります。172.16.0.0/12なら次の8の倍数は16で、差は4。第2オクテットを2の4乗=16ずつ区切る計算です。範囲は172.16.0.0〜172.31.255.255。
これらの範囲は、RFC 1918でプライベートアドレス(社内やご家庭で自由に使える範囲)として決められています。CIDR表記で覚えておくと、ファイアウォールの設定でそのまま使えます。
「192.168.1.10/24」は範囲ではなく機器の設定
CIDR表記の使われ方は2通りです。先頭が範囲の先頭になっていれば「範囲」、そうでなければ「機器のアドレスとマスク」の意味です。
- 192.168.1.0/24:192.168.1.0〜192.168.1.255のネットワーク全体
- 192.168.1.10/24:192.168.1.10の機器で、マスクが/24という設定
経路やファイアウォールの欄に後者の形を書くと、機器によってはエラーになります。AWSの資料では、サブネットを100.68.0.18/18と指定すると、100.68.0.0/18に直して作られると説明されています。
経路集約(スーパーネット)をCIDRで書く
経路集約とは、続いている複数のネットワークを、1行のCIDR表記にまとめることです。RFC 4632が目的に挙げているのも、この集約で経路表を小さくすることでした。
4つの/24を1行にまとめる手順
- 192.168.32.0/24 〜 192.168.35.0/24 をまとめたい
- 1違う部分のオクテットを2進数にする32=0010 0000、33=0010 0001、34=0010 0010、35=0010 0011
- 2全部で同じビットが何ビット続くか数える第3オクテットは上から6ビットが同じ。16+6=22
- 3先頭のアドレスに/の数字を付ける192.168.32.0/22。範囲は192.168.32.0〜192.168.35.255で、4つとぴったり重なる
まとめた範囲が、元のネットワークより広くならないかを最後に確かめる。
図:違う部分を2進数にして、同じビットが続く長さを数える
まとめられるのは、数が2の累乗で、先頭がその大きさの区切りにそろっているときだけです。たとえば192.168.1.0〜192.168.4.0の4つは、/22の区切り(0・4・8…)をまたぐので1行にはなりません。無理に/21でまとめると、持っていない192.168.0.0や192.168.5.0〜.7.0まで含んでしまいます。
集約した経路はどこで効くか
集約がよく使われるのは、拠点のルーターから本社へ経路を広告する場面です。拠点の中に/24が4つあっても、本社の経路表には/22が1行あれば足ります。
拠点の中で1つのネットワークが止まっても、集約した1行は消えません。本社側の経路表が揺れにくくなる一方で、止まった先へも通信が送られる点は覚えておいてください。
設定や画面でのCIDR表記の書き方
同じ範囲でも、OSや機器によって書き方が違います。設定の画面に合わせて、CIDR表記とマスクを読み替えます。
| 環境 | 書き方の例 | 形 |
|---|---|---|
| Linux | ip addr add 192.168.10.5/24 dev eth0 | CIDR表記 |
| Windows(PowerShell) | New-NetIPAddress -IPAddress 192.168.10.5 -PrefixLength 24 | /の数字だけを別に指定 |
| Cisco IOS(設定) | ip address 192.168.10.1 255.255.255.0 | サブネットマスク |
| Cisco IOS(表示) | show ip route の経路の行 | CIDR表記 |
| AWSのVPC | 10.0.0.0/16(サブネットは/16〜/28) | CIDR表記 |
Cisco IOSは、設定ではマスクで書くのに、経路表の表示はCIDR表記です。読み替えに慣れておくと、設定と表示を行き来するときに迷いません。
AWSのサブネットは5つのアドレスが使えない
AWSの資料では、サブネットのCIDRは/16から/28の間で指定します。どのサブネットでも、先頭の4つと最後の1つのアドレスは機器に付けられません。
10.0.0.0/24なら、使えないのは .0・.1・.2・.3・.255 の5つです。/28(16個)で作ると、機器に付けられるのは11個しか残りません。
0.0.0.0/0は「全部」を表す
0.0.0.0/0は、/の数字が0なので、すべてのアドレスを含みます。経路表ではデフォルトルート、ファイアウォールでは「どこからでも」の意味です。反対に/32は、機器1台だけを指します。
よくある質問
CIDR表記の/24はどういう意味ですか?
先頭から24ビットがネットワークの番号という意味です。マスクで書くと255.255.255.0で、アドレスは256個、機器に付けられるのは254台です。
CIDR表記とサブネットマスクはどう変換しますか?
/の数字の数だけ1を並べ、8ビットずつ区切って10進数にします。/26なら1が26個で、255.255.255.192です。逆にマスクから変換するなら、1の数を数えるだけです。
CIDR表記とプレフィックス表記は同じものですか?
どちらも同じものを指します。/の後ろの数字をプレフィックス長と呼ぶことから、プレフィックス表記という名前もあります。IPv6でも書き方は同じで、2001:db8::/32 のような形です。
IPv6のCIDR表記はどう読みますか?
考え方はIPv4と同じで、/の数字が先頭からのネットワークのビット数です。IPv6は全体が128ビットあり、1つのネットワークは/64で作るのが基本になっています。AWSでは、IPv6のサブネットを/44から/64の間で、4ずつ刻んで指定する決まりです。
経路集約でまとめすぎるとどうなりますか?
持っていないネットワークまで、自分あてとして経路を広告することになります。その範囲あての通信が自分のルーターに集まり、行き先がなく捨てられます。まとめる前に、範囲が元のネットワークとぴったり重なるかを確かめてください。
まとめ
- CIDR表記は「アドレス/ネットワーク部のビット数」。/24は255.255.255.0と同じ
- /の数字が1つ小さくなるとアドレスは2倍。数は2の(32−/の数字)乗
- 先頭が範囲の先頭なら「範囲」、そうでなければ「機器のアドレスとマスク」
- 経路集約は、同じビットが続く長さを数えて1行にまとめる。範囲が広がりすぎないかを確かめる
- Linuxやクラウドは/の形、Cisco IOSの設定はマスクの形で書く
CIDR表記に慣れたら、経路表で/の数字の違う行がどう選ばれるかを見てみてください。宛先に一番細かく一致する行が選ばれるので、/の数字が大きい行ほど優先されます。
オンプレミスのルーターとクラウドのVPCを両方読めることは、これからのネットワークエンジニアの強みになります。AI・クラウドの時代に、伸びる仕事と減る仕事を整理した記事です。
免責事項
※本記事はRFC・AWSの公式ドキュメントなどの公開情報をもとに整理したものです。コマンドの表示や挙動、クラウドの仕様は、バージョンや時期によって変わる場合があります。業務で使う機器やサービスでは、所属先の手順と各製品の最新資料をあわせてご確認ください。

