SESを抜け出す転職の進め方|NW現場10年・3回転職の田辺が「SES→SIer→自社開発」で年収+250万を実現したロードマップ

「SESを抜け出したい」と検索しているネットワークエンジニアに向けて、再現性のある脱出ロードマップを整理します。本記事の土台は、SES2次請け(年収350万)→SIerプライム(430万)→事業会社の自社開発NW部門(520万)という実際の転職ルートと、IT転職コーチングで見てきた40名以上の脱出事例・失敗事例です。結論から言えば、SES脱出は「気合い」ではなく「準備の順番」で決まります

SESそのものが悪いわけではありません。経験の浅い時期に幅広い現場を踏む手段としては合理的です。ただし、ある時点を過ぎるとSESに居続けること自体がキャリアと年収にマイナスを与え始めます。その分岐点と、抜け出すための具体的な手順を1本にまとめました

なお、SES脱出の最初の1社としては、SES比率や案件構成までヒアリングして比較できるIT特化型エージェントが相談ベースで使いやすく、意思決定が早まります。詳しくは本文で整理します。

この記事でわかること

  • SES脱出を判断する3つのシグナル(監視固定3年/単価が給与に反映されない/キャリアパスが見えない)
  • SES→SIer→自社開発で年収350万→430万→520万→600万に届いた3回転職の中身と、1回目の失敗
  • SES脱出の4ルート(SIerプライム・自社開発NW・メガベンチャー・フリーランス)の難易度と年収レンジ
  • 6ヶ月で動く現実的なロードマップ(市場価値棚卸し→スキル補強→エージェント登録→求人選定→面接→退職交渉)
  • 脱出に失敗する3パターン(SES→別SES横スライド/自社開発に絞りすぎ/退職交渉で延期)

公的情報源: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(参照)/IPA「DX白書」(参照

先に動きたい方へ。SES比率や案件構成まで踏み込んで聞けるIT特化型エージェントは、市場価値を測る最初の1社に向いています。

結論を先に書きます

SES脱出の成否を分けるのは、「事前準備の精度」と「求人選定の精度」です。年収提示が高い求人に飛びつくと、企業構造が同じSESで「横スライド」に終わります。CCNP相当のスキル・設計工程の経験・職務経歴書の数字化を先に揃え、IT特化型エージェントで企業構造を精査してから動くのが現実的な順番です。

抜け出した先は1つではありません。SIerプライム・事業会社の自社開発NW・メガベンチャー・フリーランスの4ルートがあり、求められるスキルも年収レンジも大きく違います。自分の経験年数と保有スキルに合うルートを選ぶことが、最短の脱出につながります。

この記事の要点
  • SES脱出のシグナルは「監視固定3年・単価が給与に反映されない・キャリアパスが社内で見えない」の3つ。1つでも当てはまれば準備開始
  • 3回転職の実数は年収350万→430万→520万→600万(合計+250万)。1回目の「SES→別SES」は失敗
  • 脱出ルートは4つ。10年経験者にはSIerプライムが最も現実的(求人母数大・書類通過率40〜60%)
  • 失敗の根は転職活動の精度ではなく、準備と求人選定の精度にある

SES比率・プライム比率・案件構成まで踏み込んで聞けるIT特化型エージェントは、求人選定の精度が総合型より明らかに高め。まずは無料相談で市場価値を測るところから始めると、ロードマップの精度が上がります。

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目次

SESを抜け出すべきかを判断する3つのシグナル

まず確認したいのは「いま抜け出すべきか」です。判断基準は3つあり、1つでも明確に当てはまれば転職活動の準備に入るタイミングと考えてください。

  1. 監視オペレーターまたは運用保守で3年以上経過している
  2. 客先単価が上がっても自分の給与には反映されていない
  3. 3〜5年後の自分のキャリアパスが社内で見えない

シグナル1:監視オペレーターまたは運用保守で3年以上経過している

NWのSES案件は、24時間監視・障害一次切り分け・運用保守といった「動かし続ける側」の業務が圧倒的多数で、構築・設計の工程まで触れる案件は限られます

20代前半で監視から運用保守を1〜2年経験するのは技術理解の土台になります。ただし3年以上同じレイヤーに留まると、次の転職で「設計経験ゼロ」のラベルが付き、提示年収が伸びにくくなる傾向があります。

コーチング事例で、29歳・運用保守4年のケースでは、2社目のエージェント面談で「3年目以降は設計補助でも構築でも何か追加してほしかった」と直接フィードバックを受けたといいます。最終的に脱出には成功したものの、提示額は同年代の構築経験者より約60万円低い水準でした。

経済産業省「IT人材需給に関する調査」では、2030年時点のIT人材不足は最大約79万人と推計され、市場全体は売り手市場が続きます。ただし「監視オペレーターの需要」と「設計エンジニアの需要」では年収レンジが200万円以上違うため、市場の追い風があっても自分の立ち位置で受け取れる果実は変わります

シグナル2:客先単価が上がっても自分の給与には反映されていない

SESの構造上、客先請求単価(俗にいう「単価」)が上がっても、エンジニア本人の給与に反映される割合は限定的です。客先単価が月60万→月75万に上がっても、本人の月給は3,000〜10,000円しか上がらない、というケースは珍しくありません。

これは営業利益確保・中間マージン・資本コスト負担といった企業側の事情によるもので、不正でも何でもありません。ただしエンジニア視点では「スキルが上がっても自分の取り分が上がらない」状態が続くことになります。年1度の昇給で実感がない・スキル獲得との連動が見えないと感じるなら、立派なシグナルです。

シグナル3:3〜5年後の自分のキャリアパスが社内で見えない

「この会社で5年経ったら、いまの○○さんみたいになる」というモデルケースが社内に複数いるか。これは脱出を決める最大の判断材料になります。

社内のNW部門で「設計工程を専門にやっている40代以上」がほとんどおらず、ベテランは管理職か営業に転換している——こうした状態だと、技術深耕ルートが先細りに見えます

逆に、社内に「自分が目指したい技術職像」が複数存在し、その人たちの待遇・働き方を確認できるなら、SES所属でも残る選択肢はあります。規模や業種より「技術職としてのキャリア導線が会社設計に組み込まれているか」が重要で、SES企業でも一部はこの設計を持っています。

SESを抜け出した時の実数(年収350万→600万・3回転職の中身)

抽象論より具体数字のほうが判断材料になります。ここではSES→SIer→自社開発→兼業コーチというルートの中身を時系列で整理します。各段階で「何が足りなかったか・何を補強したか」によって、次の脱出経路が決まりました。

1回目転職:SES2次請け(350万)→SES1次請け(370万・失敗)

1回目の転職は、結論から書くと失敗でした。SES2次請けで4年経過して年収350万に頭打ちを感じ、総合大手エージェント1社のみに登録。提示された求人の中で「年収提示が最も高い」企業を選びました。

ところが入社後に判明したのは、その企業も同じSES2次〜3次請け構造で、案件アサインの仕組みもほぼ同じだったということです。提示額370万・実勤務地は前職と同じ大手キャリア系の運用センター。1年経っても担当業務は監視オペレーター固定で、転職前と何も変わっていませんでした。

この1回目で得た教訓は、「SES→SESの横スライドでは抜け出せない」という当たり前のこと。エージェントに依存しすぎ、企業構造(プライム比率・案件構成・社員のキャリアパス)の調査を怠ったのが敗因です。

2回目転職:SES1次請け(370万)→SIerプライムベンダー(430万)

1回目の反省を踏まえ、2回目はIT特化型エージェントを2社併用(総合型は1社のみ補助)し、求人選定段階で「プライムベンダーかどうか」を最優先で確認しました。プライムベンダー=エンドクライアントから直接受注する立場のSIerで、設計工程・要件定義工程にアクセスできる可能性が高いポジションです。

8社受けて3社内定、最終的に中堅SIerプライム(金融系顧客中心)に430万で入社。ここで初めて「設計補助」「上流工程の打合せ参加」を経験し、CCNPの学習も並行で進めました(入社2年目で取得)。

3回目転職:SIerプライム(500万)→事業会社の自社開発NW部門(520万)

3回目は「設計経験+CCNP保有+クラウド学習中」の状態で、事業会社の自社開発NW部門に移りました。事業会社の自社NWは社内インフラの設計・運用を内製で担う部門で、ベンダー対応する側ではなく「発注して使う側」に立場が変わります。提示額520万、賞与込みで実年収580万。

入って一番変わったのは「年収が上がっても忙しさが上がらなかった」点です。SES時代は単価アップ=勤務地・案件のハードさ増加とほぼ連動していましたが、事業会社では同じ業務量でも所属企業の利益率が高いため、年収レンジそのものが違う設計でした。

なお、運用保守からの脱出という観点は運用保守からの転職は失敗かでも整理しています。あわせて読むと、SES内のどのレイヤーから動くべきかが見えやすくなります。

兼業コーチ(520万→600万)

3回目の転職から2年後、兼業でIT転職コーチを始め、本業給与+副業収入で年収600万に到達しました。これは厳密には脱出ロードマップの延長ですが、「SES→脱出後にスキルを資産化する」という意味で参考になります。

3回転職データまとめ

段階所属年収主な業務経過年数
新卒〜4年目SES 2次請け290→350万監視→運用保守4年
5〜6年目SES 1次請け(1回目転職・失敗)370万監視オペレーター固定1年
7〜9年目SIerプライム(2回目転職)430→500万設計補助・構築・CCNP取得3年
10〜12年目事業会社 自社開発NW(3回目転職)520→580万(賞与込)内製設計・クラウド移行2年
12年目〜現在事業会社+兼業コーチ600万設計+兼業進行中

合計+250万円の年収増、所要期間は12年です。派手な数字ではありません。ただしSES監視固定のまま12年継続したケース(コーチング事例で2件・いずれも年収380〜420万円帯)と比べると、約150〜200万円の差が出ています。

SES脱出の4ルート(行き先と難易度の比較)

SESから抜け出すといっても、行き先は1つではありません。選択肢は次の4つで、求められるスキル・年収レンジ・採用難易度が大きく違います

  1. SIerプライムベンダー
  2. 事業会社の自社開発NW部門・情シス
  3. メガベンチャー・SaaS系IT企業
  4. フリーランス・業務委託

ルート1:SIerプライムベンダー

エンドクライアントから直接受注する大手・中堅SIerです。NTTデータ・伊藤忠テクノソリューションズ・SCSK・TIS等の大手と、業界特化型の中堅プライム企業が含まれます。年収レンジは400〜700万、設計工程・要件定義工程の経験が積めます

採用ハードルは中〜高。CCNA以上+設計補助以上の経験があれば射程圏内で、CCNPがあるとさらに有利です。2回目転職先がこのルートでした。

ルート2:事業会社の自社開発NW部門・情シス

事業会社(金融・通信キャリア・大手メーカー・SaaS企業等)の社内NW・情報システム部門です。社内インフラの設計・運用を内製で担う立場で、ベンダーに発注する側に回ります。年収レンジは500〜800万、ワークライフバランスが改善するケースが多いです。

採用ハードルは高め。CCNP相当+クラウド経験(AWS SAA等)+3年以上の設計経験が一般的な要件です。3回目転職先がこのルートでした。コーチング事例で最も人気が高い行き先ですが、求人母数が少なく難易度も高いため、エージェント経由でも長期戦になります。

ルート3:メガベンチャー・SaaS系IT企業

DeNA・サイバーエージェント・LINEヤフー・freee・SmartHR等のメガベンチャー・上場SaaS企業のインフラ・SREポジションです。年収レンジは500〜900万、技術スタックは最新(クラウドネイティブ・Kubernetes・Terraform等)。

採用ハードルは最も高め。CCNPだけでは厳しく、AWS/GCPの実務経験+IaC(Infrastructure as Code)の経験+GitHub等で公開された個人プロジェクトが事実上必要です。このルートは35歳以下・3年以上のクラウド実務経験者に限定して薦めています。

ルート4:フリーランス・業務委託

法人化または個人事業主として、月額単価ベースで業務委託契約を結ぶルートです。月単価60〜120万円(手取りベース)、年収換算で700〜1,300万円。NW構築・運用を専業でやるならエージェント経由(レバテックフリーランス・ITプロパートナーズ等)が現実的です。

採用ハードルは技術面でミドル、運用面(営業・税務・案件継続性)でハイ。本業として独立するなら、最低5年以上の実務・直近2年でクラウドまたは設計経験ありが目安になります。

4ルート比較表

ルート年収レンジ必要経験年数必要スキル推奨度(10年経験者向け)
SIerプライム400〜700万3年以上CCNA+設計補助経験◎(最も現実的・求人母数大)
事業会社 自社開発NW500〜800万5年以上CCNP+クラウド+設計3年以上○(人気高・求人母数少)
メガベンチャー500〜900万5年以上クラウド実務+IaC+個人プロジェクト△(最新技術キャッチアップ必要)
フリーランス700〜1,300万5年以上設計または運用自動化の実務△(運用負荷あり・税務知識必要)

10年経験者の現実解は、まずSIerプライムを軸に置くこと。求人母数が大きく書類通過率も高めで、設計工程に触れる導線を確保しやすいルートです。

SES脱出に必要なスキル要件(4ルート共通の最低ライン)

脱出前に揃えたい最低要件は4つです。SES→SES横スライド以外を狙うなら、このうち3つ以上を満たしてから動くのが安全圏になります。

  1. CCNP相当の技術スキル(または同等の証拠)
  2. 設計工程または構築工程の実務経験(1年以上)
  3. クラウド経験(AWS / Azure / GCP のいずれか)
  4. 言語化された業務実績(職務経歴書ベース)

要件1:CCNP相当の技術スキル(または同等の証拠)

CCNAは「持っている前提」、CCNPで「設計・構築工程を任せられる候補」と見られます。CCNP未取得でも、AWS SAA/SAP・LinuC 2級・LPIC-2 のいずれかで代替できる場合がありますが、NW専業で動くならCCNPが最も汎用性が高いです。学習期間はCCNA取得後で約6〜9ヶ月(300〜400時間)が目安になります。

要件2:設計工程または構築工程の実務経験(1年以上)

コーチング相談で最初に必ず確認するのが「設計補助 or 構築の経験があるか」です。SESの監視・運用保守だけで年数を積んでも、設計経験の有無で書類選考通過率が大きく変わります

設計工程ゼロの場合の補強策は3つあります。

  1. 現職で設計補助案件への異動希望を出す(半年〜1年で実現する可能性あり)
  2. 個人でラボ環境を作り、設計→構築→運用ドキュメントをGitHubに公開する
  3. 社内勉強会で設計演習を主導する(社外実績にはならないが面接で語れる)

要件3:クラウド経験(AWS / Azure / GCP のいずれか)

事業会社・メガベンチャールートを狙うなら、ほぼ必須の要件です。最低限、AWS Certified Solutions Architect Associate(SAA)取得+ハンズオンで個人環境構築の経験があると強いです。SAAの学習時間は約100〜150時間、受験料は15,000円

SES現場で扱う機会がない場合は、自己負担でAWSアカウント(月数千円範囲)を作って勉強する経路が現実的でしょう。月3,000〜5,000円のクラウド利用料を自費負担しながら学習する、というのは多くの脱出者がたどる道です。

要件4:言語化された業務実績(職務経歴書ベース)

「監視・障害対応・運用保守」だけの職務経歴書は、転職市場で差別化されません。同じ業務でも、次のように数字付きで書けるかで通過率が変わります。

  • 障害一次切り分けの平均対応時間(例: 平均15分以内・件数月60件超)
  • 担当案件の規模(拠点数・利用ユーザー数・帯域)
  • 改善提案実績(手順書整備・自動化スクリプト・運用効率化)

コーチング事例で、職務経歴書の数字化(要点5項目)を3週間で進めた人は、書類選考通過率が約20%→約45%に上がりました。

SES脱出転職の6ヶ月ロードマップ(標準ルート)

ここから具体的なロードマップです。総所要期間は6ヶ月を目安にしてください。「いますぐ動きたい」気持ちは分かりますが、要件未充足のまま動くと、1回目転職と同じ失敗(SES→SES横スライド)になります。

  1. 市場価値の棚卸し(2週間)
  2. 不足スキルの補強(3ヶ月)
  3. 転職エージェント登録(IT特化型2社+総合型1社)
  4. 求人選定(SES比率と案件構成を必ず確認)
  5. 面接対策(過去案件の数字化と転職理由の言語化)
  6. 内定獲得→退職交渉(1ヶ月)

Step1:市場価値の棚卸し(2週間)

最初にやるのは現状把握です。次の3点を文章化します。

  1. 直近3年の業務内容を半年単位で書き出す(監視何件・障害対応何件・設計補助何件・運用改善何件)
  2. 保有資格と取得年月(CCNA取得が2年以上前なら更新も検討)
  3. 直近1年の評価(評価面談で言われたこと・昇給額・昇格有無)

ここで埋まらない欄が多い場合、Step2で補強する優先順位を決めます。

Step2:不足スキルの補強(3ヶ月)

Step1の棚卸しで足りない要件を、以下の優先順位で補強します。同時並行は避けて1つずつ進めるのが鉄則です。

不足項目補強アクション期間目安費用目安
設計工程経験現職で設計補助への異動希望、または自宅ラボ構築3〜6ヶ月0〜3万円
CCNP未取得CCNP(ENCOR / ENARSI)取得6〜9ヶ月10〜15万円
クラウド経験AWS SAA取得+個人環境構築2〜3ヶ月3〜5万円
職務経歴書の数字化業務日報を遡って数字を集計し職務経歴書に反映3週間0円

CCNPは時間がかかるため、本格的に脱出を決めたタイミングで「動きながらでも進める」スタンスで構いません。クラウドと職務経歴書の数字化は先に終わらせてからエージェント登録に進むと、面談時の精度が上がります。

Step3:転職エージェント登録(IT特化型2社+総合型1社)

エージェント登録は最低3社、可能なら5社まで増やして比較してください。推奨の組み合わせは次の通りです。

エージェント種別推奨用途1社目の例
IT特化型(メイン)求人精度・年収交渉・案件構造の精査TechGo・レバテックキャリア
IT特化型(サブ)別軸の求人母数確保・別担当の意見聴取geekly・マイナビIT AGENT
総合型大手求人母数・他業界比較doda・リクルートエージェント

IT特化型を必ず2社入れる理由は、担当者の質の差が大きいためです。1社目の担当者がいまいちでも、2社目で当たることがあります。実際、2回目転職時はこのパターンで成功しました。

各エージェントの詳細比較はIT転職エージェント比較記事で整理しています。商標ベースで判断する場合はそちらを併読してください。

Step3のエージェント選びが、脱出の再現性に最も差を出す段階です。SES比率・プライム比率・案件構成まで踏み込んで聞けるIT特化型を、まず1社押さえておくと求人選定が一気に楽になります。

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Step4:求人選定(最重要・SES比率と案件構成を必ず確認)

1回目転職失敗の最大の原因は、求人選定段階で「企業構造」を確認しなかったことでした。応募前に必ずエージェント担当者へヒアリングする項目を整理します。

  1. SES比率(自社開発比率):SES案件売上比率は何%か。50%以上ならSES主体、20%以下なら自社開発主体
  2. プライム比率:SES案件のうちプライム(直請け)比率は何%か。70%以上なら設計工程参画余地あり
  3. 求人ポジションの想定アサイン先:内定後に具体的に何の案件に入るか
  4. 過去3年の同ポジション採用者の現状:3年前に同じ枠で採用された人が今どこにいるか
  5. 資格手当・教育研修制度:CCNP・AWS取得補助の有無と金額

この5項目を即答できる担当者は信頼度が高く、ぼかす担当者は要注意です。2回目転職時はこの5項目で4社の担当者を比較し、最も詳細に答えた担当者の紹介企業から内定を獲得しました。

Step5:面接対策(過去案件の数字化と転職理由の言語化)

面接で必ず聞かれるのが「なぜSESを抜け出したいのか(転職理由)」と「過去案件で何ができるようになったか(実績)」の2点です。伝え方を変えるだけで通過率が変わります

転職理由は、不満ベースで語ると面接官に「うちでも同じ不満を持って辞めるのでは」と判断されます。同じ内容を「構造的に何が変わると自分のキャリアが進むか」のロジックに変換してください。

項目NG例(不満・業務名のみ)OK例(前向き・数字付き)
転職理由SES特有の案件ガチャに疲れた/単価が上がっても給与に反映されない設計工程に継続して関わるキャリアを作りたく、所属企業の事業構造を変える必要があると判断した
実績監視業務を3年やってきました拠点数50・利用ユーザー2万人規模のキャリア網運用監視を3年担当し、障害一次切り分けの平均対応時間を10分から5分に短縮した

数字を出せない場合は、Step1の棚卸しに戻って業務日報を遡る必要があります。「規模」と「改善した数字」をセットで語れるかが分かれ目です。

Step6:内定獲得→退職交渉(1ヶ月)

内定が出たら、最初の1社で即決せず2〜3社の内定を並行で揃えるのが理想です。ただし現実には1社内定の段階で1〜2週間の承諾期限が来ます。推奨は次の順序です。

  1. 1社目内定が出た時点で、第2志望以下の選考スピードを上げる(エージェントに伝えて面接日程を前倒し)
  2. 承諾期限延長の交渉(1週間延長は普通に通ります)
  3. 承諾後の退職交渉は2週間以内に上司へ伝達(民法上は2週間前通告で退職可、就業規則では1〜2ヶ月前が一般的)

退職交渉で「引き止め」に遭うことは多いです。3回目転職時も現職上司から「年収を上げる・案件を変える」のカウンターオファーが出ましたが、転職先の事業構造そのものが違うため受けませんでした。引き止めに応じると、次の脱出機会がさらに先送りになるケースが多いです。

SES脱出転職でよくある失敗3パターン

コーチング相談で見てきた失敗パターンを3つ整理します。脱出に成功した人と失敗した人の差は、転職活動の精度というより、「事前準備の精度」と「求人選定の精度」にあります。

  1. 「SES→別SES」横スライドで何も変わらない
  2. 自社開発に絞りすぎて選択肢が消える
  3. 退職交渉で現職に止められて1年延期

失敗1:「SES→別SES」横スライドで何も変わらない

最も多い失敗パターンです。年収提示が高い求人にすぐ飛びついた結果、企業構造は同じSESで、入社後に担当する案件もほぼ同じ——というケースです。1回目転職がまさにこれでした。

回避策は、Step4で書いた5項目ヒアリング(SES比率・プライム比率・想定アサイン先・過去採用者の現状・資格手当)を必ず実行すること。エージェント担当者が即答できない場合は、応募保留にして調査を依頼するか、別エージェントに同じ求人で確認させてください。

失敗2:自社開発に絞りすぎて選択肢が消える

逆方向の失敗パターンです。「SESを抜け出すなら絶対に自社開発(事業会社)」と決めて応募範囲を絞った結果、応募できる求人が3〜5社しかなく、全社書類選考で落ちて転職活動が止まるケースです。

事業会社の自社開発NW部門は求人母数が極めて少なく、書類選考通過率も10〜25%程度。最初からそこに絞らず、SIerプライム(求人母数大・書類通過率40〜60%)も並行で受けて、最終的に内定が出た中で選ぶほうが成功確率が上がります。

失敗3:退職交渉で現職に止められて1年延期

内定後の退職交渉で、現職上司から「年収アップ」「案件変更」「役職昇格」のカウンターオファーが出て、応じてしまうケースです。コーチング事例で2件確認していますが、いずれも1年後に同じ理由で再度転職活動を始めることになりました。

カウンターオファーに応じると、現職側からは「辞める意思を1回見せた人」というラベルが残り、評価面でマイナスに作用することもあります。退職を決めた時点で、内定先以外の選択肢は閉じるというスタンスで臨んでください。

SES脱出のタイミング(年齢別・経験年数別の判断軸)

「いま動くべきか、もう少し経験を積んでからか」は、最もよく受ける質問です。年齢と経験年数で目安を整理します。

年齢帯経験年数判断の目安射程に入るルート
20代前半1〜3年まだ抜け出す必要は薄い。2年時点でCCNA未取得・設計補助ゼロなら異動希望か準備開始準備フェーズ
20代後半4〜7年抜け出すのに最適。CCNA必須・CCNP取得中・設計補助1年以上で動くSIerプライム/事業会社
30代前半8〜12年CCNP相当+設計3年以上+クラウドで選択肢が広がる事業会社/メガベンチャー
30代後半〜13年以上純粋技術職の横展開は厳しい。マネジメント・リード・専門性のいずれか必須マネジメント・専門特化

動ける年齢帯のうちに動くのが、現実的な判断。経済産業省の「DX動向調査(IPA DX白書)」によれば、企業のDX人材確保で即戦力ニーズが高まる一方、35歳以上の純粋NW経験者の中途採用は減少傾向にあります。

20代後半(経験4〜7年)はとくに射程が広い時期です。なお、監視オペレーターからインフラエンジニアへ進む道筋は監視オペレーターのキャリアパスで詳しく整理しています。

SES脱出が向いている人・向いていない人

すべての人が今すぐ動くべきとは限りません。判断材料として、向いている人・向いていない人を両方明示します。

いま脱出に動くのが向いている人

  • 監視・運用保守で3年以上経過している人:設計経験ゼロのラベルが付く前に動く価値が大きい
  • 単価が上がっても給与に反映されない実感がある人:構造的に取り分が増えにくいシグナル
  • CCNA保有+設計補助1年以上の20代後半:SIerプライム・事業会社のいずれも射程内
  • 社内に目指したい技術職像が見当たらない人:キャリア導線が会社設計に無い
  • クラウド学習を自費でも進められる人:事業会社・メガベンチャーの門が開く

いったん準備に専念したほうがよい人

  • 経験1〜2年でCCNA未取得の20代前半:まず現場経験とCCNAを固めるほうが射程が広がる
  • 設計補助・構築経験がまだゼロの人:横スライドになりやすく、先に経験を1つ作る
  • 職務経歴書を数字で書けない人:棚卸しと数字化を終えてから動くと通過率が上がる
  • 「年収だけ」で求人を選びがちな人:企業構造の確認が習慣化するまで失敗1の典型に陥りやすい

「向いていない人」と書きましたが、否定ではありません。準備の順番を整えるだけで、同じ人でも脱出の成功率は大きく変わります

よくある質問

SES脱出について、相談で頻出した質問を整理します。

Q1:SESを抜け出すには何歳までが現実的ですか?

コーチング事例では、35歳までが純粋技術職としての脱出ルートが現実的な年齢帯です。30代前半までは設計経験3年以上+CCNP相当+クラウド経験で、事業会社・SIerプライムが射程に入ります。35歳以上はマネジメント経験・プロジェクトリード経験・特定領域の深い専門性のいずれかが必要になります。動ける時に動くのが鉄則です。

Q2:CCNAだけで自社開発企業の自社NW部門に転職できますか?

難易度は高めです。事業会社の自社開発NW部門はCCNP相当+クラウド経験+設計3年以上が一般的な要件になります。CCNA保有でも設計補助経験3年以上+クラウド学習中であれば書類選考を通過する事例はありますが、可能性を上げるならCCNP取得とAWS SAA取得を優先するほうが安全です。SIerプライムならCCNA+設計補助でも射程に入るため、まずそちらを狙うのが現実的でしょう。

Q3:SES内部での部署異動も「SES脱出」になりますか?

条件付きでなる場合があります。同じSES企業でも、プライム案件比率が高い部署・自社サービス開発部門・社内インフラ運用部門への異動なら、業務内容と経験が大きく変わるため脱出と同等の効果があります。ただし「監視部門から運用保守部門」のような同レイヤー内移動は脱出になりません。異動の場合も、移動先で設計工程・上流工程にアクセスできるかを事前に確認してください。

Q4:SES企業の退職交渉で引き止められた場合、どう対応すべきですか?

原則としてカウンターオファーは受けないほうが安全です。コーチング事例で2件、カウンターオファーに応じて残った人を確認していますが、いずれも1年後に同じ理由で再度転職活動を始めています。年収アップ・案件変更を約束されても、企業構造そのものが変わるわけではないため、根本理由(設計工程に触れる導線がない等)が解決しないことが多いです。退職を決めた時点で、他社内定以外の選択肢は閉じると決めて臨んでください。

Q5:フリーランスへの独立はSES脱出のルートとして現実的ですか?

5年以上の実務経験+設計または運用自動化の専門性があれば現実的ですが、運用負荷(営業・税務・案件継続性管理)が大きいルートです。月単価60〜120万円(年収換算700〜1,300万円)と高単価ですが、ボーナス・退職金・福利厚生がなく、案件終了リスクも自己負担になります。本業として独立するなら最低5年実務+直近2年でクラウドまたは設計経験ありが目安。まずは副業から始めて月単価感を体験するのが安全です。

Q6:SES脱出転職で年収はどれくらい上がりますか?

実数では3回転職で合計+250万円(350万→430万→520万→600万、所要12年)でした。1回の転職での年収アップは50〜100万円が現実的なレンジです。SES→SIerプライムで+50〜80万、SIerプライム→事業会社で+50〜100万、というのがコーチング事例の中央値になります。1回で+200万のような派手な数字を狙うとミスマッチが起きやすいため、3〜5年スパンで2回転職して着実に積み上げるのが現実的です。

Q7:転職エージェントは何社登録すべきですか?

最低3社、可能なら5社までです。推奨組み合わせはIT特化型2社(メイン+サブ)+総合型大手1社。IT特化型を2社入れる理由は、担当者の質の差を吸収するためです。1社目の担当者がいまいちでも2社目で当たることがあります。総合型1社は他業界比較・求人母数確保の補助として使います。5社まで増やすと面談時間の負荷が大きくなるため、3社で動き始めて手応えが薄ければ追加する運用が現実的でしょう。

まとめ:SES脱出ロードマップ再整理

最後に6ヶ月ロードマップを短くまとめます。

この記事のまとめ
  • Step1(2週間):市場価値の棚卸し(業務内容・資格・評価の文章化)
  • Step2(3ヶ月):不足スキル補強(CCNP・AWS SAA・設計補助経験・職務経歴書の数字化)
  • Step3(2週間):IT特化型エージェント2社+総合型1社の登録
  • Step4(1ヶ月):求人選定(SES比率・プライム比率・想定アサイン先・過去採用者の現状・資格手当の5項目ヒアリング)
  • Step5(1ヶ月):面接対策(転職理由の前向き言語化・実績の数字化)
  • Step6(1ヶ月):内定獲得→退職交渉(カウンターオファーは受けない)

3回転職の実数(350万→430万→520万→600万・+250万円)の中身は、結局のところ「Step4の求人選定精度」と「Step3のエージェント選び」の積み重ねでした。1回目転職の失敗(SES→SES横スライド)も、この2点を軽視したのが原因です。

SES脱出はキャリアの方向転換そのもので、半年〜1年の準備が必要になります。準備段階からIT特化型エージェントを情報源として使うと、ロードマップの精度が上がります。動き出す最初の1社として、まずは無料相談から進めるのが再現性の高い選択です。

SES比率・プライム比率・案件構成まで踏み込んで聞けるIT特化型は、同年代のNW経験者がどのレンジで動いているかをデータで返してくれます。市場価値を測る最初の1社として、まず相談から始めてみてください。

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免責事項

※本記事は転職・求人サービスの公開情報と利用者の声をもとにした整理です。年収・求人数・資格要件は2026年時点の情報で、時期により変動します。最終的なサービス選択・転職判断は各公式サイトの最新情報および経済産業省・厚生労働省等の公的情報をご確認のうえご判断ください。

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この記事を書いた人

Tanabeです。新卒でSIerに入り、ネットワークの設計から構築、運用保守、クラウド移行まで10年やってきました。その間に転職を3回、CCNPも取りました。

正直に言うと、資格を取っても年収はすぐには上がりませんでした。1回目の転職は失敗、2回目でようやく150万円上がり、3回目で今の事業会社に落ち着いた。動いてみて分かったのは、資格の有無より「現場で何を任されてきたか」で評価が決まる、ということです。

エージェントの言葉を鵜呑みにして、危うく後悔しかけた経験もあります。だからこそ、自分がやらかした失敗をそのまま書いて、同じ回り道をしなくて済むように残しています。転職を考え始めた人が、条件で損をしないための材料にしてもらえたら嬉しいです。

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