スタティックルートは、Ciscoなら設定モードで「ip route 宛先 マスク ネクストホップ」と1行書けば設定できます。設定したら、show ip route staticで「S」の行が出るかを確かめます。通らないときは、戻りの経路が相手側にあるかを先に見てください。
この記事でわかること
- Cisco IOSのip routeの書き方と、デフォルトルート・IPv6の設定
- ネクストホップと出口インターフェースの指定で、動きがどう変わるか
- 片道だけでは通らない戻りの経路の考え方
- フローティングスタティックで予備の経路を作り、切り替わりを確かめる手順
- LinuxとWindowsでの設定と、再起動しても消さない方法
一次情報: Cisco「スタティックルートのネクストホップ IP アドレスの設定」(参照)/Cisco「アドミニストレーティブ ディスタンス」(参照)/Microsoft Learn「route」(参照)※2026年10月時点
スタティックルートの設定と確認は、CCNAの出題範囲にも入っている内容です。受験料や勉強時間、取得後に年収がどう動くかは別の記事にまとめました。
スタティックルートとは?手で書き込む経路
スタティックルート(静的経路)は、管理者がコマンドで書き込む経路です。OSPFなどのルーティングプロトコルと違って、隣の機器と経路をやり取りしません。
そのため、ネットワークの形が変わっても自動では直りません。書いた内容がそのまま残り続けます。
| 項目 | スタティックルート | ルーティングプロトコル(OSPFなど) |
|---|---|---|
| 経路の作り方 | 1本ずつ手で書く | 隣の機器と自動でやり取りする |
| 構成が変わったとき | 手で書き直す | 自動で計算し直す |
| 信頼度(AD)の既定値 | 1 | OSPFは110、EIGRP(内部)は90 |
| 向く場面 | 出口が1つの拠点、小さな構成、予備の経路 | 経路が多い、迂回路が複数ある |
ADは、同じ宛先を別々の出どころから知ったときに、どちらを表に載せるかを決める数字です。小さいほうが勝ちます。既定のままなら、スタティックルートがOSPFの経路より優先される計算です(出典: Cisco「アドミニストレーティブ ディスタンス」)。
Ciscoでの設定方法|ip routeの書き方
Cisco IOSでは、グローバル設定モードでip routeコマンドを使います。書くのは「宛先のネットワーク」「サブネットマスク」「次に渡す先」です。最後にADを足すこともできます。
ip route 宛先ネットワーク サブネットマスク {ネクストホップ | 出口インターフェース} [AD]
下の構成で、R1から10.2.2.0/24へ届くようにしてみましょう。アドレスは説明用の値です。
[10.1.1.0/24]--R1 Gi0/0(192.0.2.1)----(192.0.2.2)Gi0/0 R2--[10.2.2.0/24]
R1# configure terminal
R1(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2
R1(config)# end
マスクは「/24」ではなく、255.255.255.0の形で書きます。宛先には、ホストの部分が0になったネットワークのアドレスを入れてください。
次に渡す先は3通りの書き方がある
次に渡す先の書き方は、ネクストホップ・出口インターフェース・その両方の3通りです。どれでも経路は表に載りますが、動きが違います。
| 書き方 | 例 | 動き | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| ネクストホップだけ | ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2 | ネクストホップへの経路を表から探し直して出口を決める | 一般的な書き方 |
| 出口だけ | ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 Serial0/1/0 | 宛先がその出口に直接つながっていると見なす | ポイントツーポイントのシリアル回線 |
| 両方 | ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 Gi0/0 192.0.2.2 | 出口とネクストホップを固定する | イーサネットで予備の経路を作るとき |
Ciscoの技術資料は、出口とネクストホップの両方を書く形を強く勧めています。資料名は「スタティックルートのネクストホップ IP アドレスの設定」です。
イーサネットで「出口だけ」を書くと困ること
- ルーターの見方
- 宛先はどれもGi0/0に直接いる
- 起きること
- 宛先ごとにARPを出し、ARPキャッシュが膨らむ
- 影響
- CPUとメモリの負担が増える
- ルーターの見方
- 宛先はどれも192.0.2.2の先にいる
- 起きること
- ARPを引くのは192.0.2.2だけ
- 影響
- Gi0/0が落ちれば経路も表から消える
図:イーサネットでは出口とネクストホップを両方書くと、ARPの負担と切り替えの両方で困らない
出口だけのデフォルトルートだと、ルーターはネット上のどの宛先にもARPを出します。同じ資料によると、CPU使用率の上昇やメモリ割り当ての失敗につながるそうです。
デフォルトルートを設定する
宛先とマスクを両方0.0.0.0にすると、デフォルトルートになります。どの経路にも当てはまらない通信の出口のことです。
R1(config)# ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 192.0.2.2
show ip routeでは「S*」の印が付きます。「Gateway of last resort」の行には、設定したネクストホップが出るはずです。拠点の出口が1本だけなら、この1行で済ませる構成もよく見かけます。
IPv6はipv6 routeで設定する
IPv6ではipv6 routeを使い、宛先は「/64」のような形で書きます。先にIPv6の転送を有効にしておいてください。
R1(config)# ipv6 unicast-routing
R1(config)# ipv6 route 2001:db8:2::/64 2001:db8:12::2
確認はshow ipv6 route staticです(出典: Cisco「IPv6 のスタティック ルートを実装する設定例」)。
戻りの経路も設定する|片道だけでは通らない
スタティックルートで一番多いつまずきは、行きの経路しか書いていないケースです。pingは「行って帰ってくる」ので、相手側にも自分のネットワークへの経路が要ります。
10.1.1.10から10.2.2.20へのpingが通るまで
- R1とR2が直接つながり、それぞれの奥にLANがある構成
- 1行き:R1が10.2.2.0/24あての経路を持っているR1に ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2
- 2R2は自分のLANなので、そのまま10.2.2.20へ届けるR2にとって10.2.2.0/24は直接つながった経路
- 3帰り:R2が10.1.1.0/24あての経路を持っているR2に ip route 10.1.1.0 255.255.255.0 192.0.2.1。これが無いと返事が捨てられる
行きと帰りの両方がそろって、はじめてpingが返ってくる。
図:スタティックルートは往復の両方を、それぞれのルーターに書く
帰りの経路が無いと、R2は返事の送り先が分からず捨ててしまいます。R2にデフォルトルートがあれば、返事はそちらへ流れていくでしょう。どちらにしても、行きは届くのにpingは返らない状態です。
| ルーター | 書く経路 | 役目 |
|---|---|---|
| R1 | ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2 | 行き(R1側のLANからR2側のLANへ) |
| R2 | ip route 10.1.1.0 255.255.255.0 192.0.2.1 | 帰り(R2側のLANからR1側のLANへ) |
間にルーターがもう1台あれば、そのルーターにも両方向の経路が要ります。書く前に、通るルーターを図に並べてみてください。行きと帰りで1本ずつ書き込むと、漏れが出にくくなります。
設定したら確認する
設定を入れたら、経路が表に載ったかと、実際に通るかを分けて確かめます。
| 確かめること | コマンド | 見る場所 | |
|---|---|---|---|
| 経路が表に載ったか | show ip route static | 先頭に「S」が付いた行があるか | |
| 特定の宛先にどの経路が使われるか | show ip route 10.2.2.20 | 一致した経路のADと出どころ | |
| 設定が入っているか | show running-config \ | include ip route | 書いたip routeの行 |
| 実際に通るか | ping 10.2.2.20 source 10.1.1.1 | 「!」が返るか | |
| どこで止まるか | traceroute 10.2.2.20 | 途中で返事が途切れる場所 |
下は、R1の表示の例です。
R1# show ip route static
(凡例は省略)
Gateway of last resort is not set
10.0.0.0/8 is variably subnetted, 3 subnets, 2 masks
S 10.2.2.0/24 [1/0] via 192.0.2.2
「[1/0]」は左がAD、右がメトリックです。スタティックルートのメトリックは0で表示されます。
pingに「source」を付けるのは、送り元をLAN側のアドレスにするためです。付けないと送り元は出口の192.0.2.1になります。この場合、戻りの経路が無くても通ってしまうことがあるので要注意です。
止まる場所の調べ方は「tracertコマンドの使い方」にまとめています。pingの結果の読み方は「pingコマンドの使い方」をご覧ください。
フローティングスタティックで予備の経路を作る
ADを大きくしたスタティックルートは、ふだんは表に出ません。本線の経路が消えたときだけ表に載る仕組みで、フローティングスタティックと呼ばれます。回線を2本持つ拠点の予備によく使われています。
下の例は、本線がGi0/0、予備がGi0/2(198.51.100.0/30)の構成です。
R1(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 GigabitEthernet0/0 192.0.2.2
R1(config)# ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 GigabitEthernet0/2 198.51.100.2 250
本線はAD 1、予備はAD 250です。同じ宛先に2本あるので、ADの小さい本線だけが表に載ります。本線をOSPFで知っている場合も、予備をOSPFの110より大きくすれば同じ動きです(出典: Cisco「アドミニストレーティブ ディスタンス」)。
予備の経路に切り替わる流れ
- 本線 AD 1(Gi0/0)と予備 AD 250(Gi0/2)を設定した状態
- 1ふだんは本線だけが表に載るshow ip route staticに [1/0] via 192.0.2.2 が出る
- 2Gi0/0がダウンすると本線が表から消える出口を書いているので、インターフェースと一緒に消える
- 3予備が表に載り、通信が予備に流れる[250/0] via 198.51.100.2 に変わる。本線が戻れば元に戻る
本線の消え方が、そのまま切り替わりの条件になる。
図:フローティングスタティックは、本線が表から消えたときだけ表に載る
切り替わらないときは本線の書き方を見直す
本線をネクストホップだけで書くと、Gi0/0が落ちても切り替わらないことがあります。ネクストホップへ届く経路が残っていると、本線も有効なままだからです。デフォルトルートがあると、この状態になりがちです(出典: 先のCisco技術資料)。
もう1つ、インターフェースはアップのまま、先の回線だけが切れているケースもあります。途中にスイッチや事業者の機器を挟む構成がそうです。経路が消えないので、IP SLAのトラッキングで到達性を監視させます(出典: Cisco「IPv4スタティックルートのIP SLAトラッキングの設定」)。
- show ip route 10.2.2.0で、本線の[1/0]が選ばれていることを確かめる
- メンテナンスの時間に、本線のGi0/0をshutdownする
- show ip route 10.2.2.0で、[250/0] via 198.51.100.2に変わったかを見る
- pingとtracerouteで、予備の回線を通って届くことを確かめる
- no shutdownで戻し、本線に戻ったことを確認する
予備の側でも、相手のルーターに戻りの経路が要ります。切り替えたら行きだけ予備を通り、帰りは止まった本線へ向かう、という状態はよく起きます。相手側にも同じADの組み合わせで書いておいてください。
経路を消す・設定を保存する
スタティックルートを消すときは、設定した行の先頭にnoを付けて入力します。同じ宛先に2本あるなら、消したいほうのネクストホップまで書いてください。その1本だけが消えます。
R1(config)# no ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 GigabitEthernet0/2 198.51.100.2 250
R1(config)# end
R1# copy running-config startup-config
保存しないと、再起動で設定ごと消えてしまいます。作業の最後は、copy running-config startup-configで保存しましょう。
LinuxとWindowsで設定する
サーバーやPCにも、スタティックルートを書く場面があります。管理用のLANと業務用のLANで、NICを2枚に分けている構成が典型です。
| 作業 | Cisco IOS | Linux | Windows |
|---|---|---|---|
| 経路を足す | ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2 | ip route add 10.2.2.0/24 via 192.0.2.2 | route add 10.2.2.0 mask 255.255.255.0 192.0.2.2 |
| 再起動後も残す | copy running-config startup-config | nmcli connection modify 接続名 +ipv4.routes “10.2.2.0/24 192.0.2.2” | route -p add 10.2.2.0 mask 255.255.255.0 192.0.2.2 |
| 経路を消す | no ip route 10.2.2.0 255.255.255.0 192.0.2.2 | ip route del 10.2.2.0/24 | route delete 10.2.2.0 mask 255.255.255.0 |
| 確かめる | show ip route static | ip route/ip route get 10.2.2.20 | route print |
Linuxのip route addは、動いている経路表に入れるだけです。再起動すると残りません。RHEL系ではnmcliで接続の設定に書き込み、nmcli connection upで反映させます(出典: Red Hat「nmcli を使用した静的ルートの設定」)。今ある経路を置き換えるなら、ip route replaceが便利です(man ip-route)。
Windowsのrouteは、maskを省くと255.255.255.255として扱われます(出典: Microsoft Learn「route」)。ネットワーク全体を書いたつもりでも、1台あての経路になるわけです。/pを付けた経路はレジストリに保存され、route printの「固定ルート」に表示されます。
設定したのに通らないときの確認
経路を書いたのに通らないとき、原因はだいたい次の表のどこかにあります。上から順に確かめていけば、遠回りせずに済むはずです。
| 症状 | 考えられる原因 | 確かめ方 | |
|---|---|---|---|
| show ip route staticに出ない | 出口がダウンしている、ネクストホップへ届く経路が無い | show ip interface briefで出口がupか | |
| 表に出るがpingが返らない | 相手側に戻りの経路が無い | 相手のshow ip routeで自分のLANあての経路を探す | |
| 表に出ているのに別の経路で送られる | もっと細かい経路(/25など)が一致している | show ip route 宛先で選ばれた行を見る | |
| 予備の経路が表に出てこない | 本線がまだ表に残っている | show ip route 宛先で、今の出どころとADを見る | |
| 一部の宛先だけ届かない | マスクの書き間違いで範囲がずれている | show running-config \ | include ip routeでマスクを見直す |
| 経路は正しいのに止まる | ACLやファイアウォールで止められている | tracerouteで止まる場所を調べ、その機器の設定を見る |
表に出ない原因で多いのは、ネクストホップのアドレスの打ち間違いです。ネクストホップは、直接つながった相手のアドレスになっているかを見てください。
よくある質問
スタティックルートとデフォルトルートは何が違いますか?
デフォルトルートは、宛先が0.0.0.0/0のスタティックルートです。ほかのどの経路にも当てはまらない通信が、この経路を使います。書き方はip route 0.0.0.0 0.0.0.0 ネクストホップです。
ADは何にすればいいですか?
本線として使うなら、既定の1のままで構いません。予備にするときは、本線のADより大きくします。本線がOSPFなら110より上、本線がスタティックなら2以上です。例では、ほかの出どころとぶつかりにくい250がよく使われます。
同じ宛先に2本書くとどうなりますか?
ADが違えば、小さいほうだけが表に載ります。ADが同じだと、2本とも表に載って通信が振り分けられる動きです。予備のつもりで書いたのにADを付け忘れると、両方に流れてしまうので注意が必要です。
スタティックルートはルーティングプロトコルより劣りますか?
得意な場面が違います。経路が少なく、出口が1つしかない拠点なら、スタティックルートのほうが設定も確認も単純です。迂回路が多い構成では、OSPFなどに任せたほうが管理は楽になるでしょう。
L3スイッチでも同じコマンドで設定できますか?
CiscoのL3スイッチでも、ip routeで設定できます。ただ機種によっては、先にip routingでルーティングを有効にしておかないと使えません。show running-configにip routingの行があるかを確かめてください。
まとめ
- Ciscoはip route 宛先 マスク ネクストホップの1行で設定する。ADの既定値は1
- イーサネットでは、出口インターフェースとネクストホップの両方を書くのが無難
- pingは往復なので、相手のルーターにも戻りの経路を書く
- 確認はshow ip route staticと、送り元を付けたping、tracerouteの3つ
- フローティングスタティックは、本線より大きいADを付けた予備の経路
- Linuxはnmcli、Windowsはroute -pで、再起動しても残る形にする
スタティックルートは設定こそ1行です。それでも往復の経路と切り替わりの条件まで考えておけば、障害のときに慌てずに済みます。設定を入れたら、表に載ったかと通るかを毎回分けて確かめてみてください。
経路の設定と切り分けができると、構築や運用保守の現場で任される範囲が広がります。CCNA・CCNPの有無や経験年数に合う転職エージェントの選び方を、比較記事にまとめました。
免責事項
※本記事はCisco・Microsoft・Red Hatなどの公開資料をもとに整理したものです。コマンドの書き方や表示は、機種・OSのバージョンによって変わる場合があります。業務で使う機器では、所属先の手順と各製品の最新資料をあわせてご確認ください。

